76 バケモノになろう
いっぽうそのころのプリマジェール、ドラ子、ツラミルリィの三人――――――
「がうがう!」
「いやーラウルたちどうしてるかなー」
ビルの最上階に立つプリマジェールは徘徊するミニスカポリス等を眺めていた。
しなる鞭の音と警報のランプが小玉する。
現状、大悪党の襲撃と、元よりのポリス等が入り交じる混沌と化している。
「お二方、悠長に傍観している場合ではありませんよ」
ザッ、ツラミルリィが地に降りた。
「あはは。まあ、こんな騒動
古にマージン星でおきたオートマタ大戦にくらべたら大丈夫じゃない?」
プリマジェールは昔を懐かしむかのように目を閉じた。
「……はぁ」
ツラミルリィは楽観的ともとれるその態度にため息をつく。
「で……状況は?」
プリマジェールの顔つきが変化する。
「襲撃の首謀者は捕まった様子です。しかし、最悪といってもいいです……ぼっちゃまたちは捕まったようなのです」
たんたんと、ツラミルリィは要点を述べた。
「がう!?」
ドラ子は驚き、バタバタとおちつかない様子で翼で空をあおぐ。
「……え?まっさかラウルたちが捕まるなんてこと……でもきっとすぐ逃げ出すでしょ」
プリマジェールは目を見開く。動揺しかけ、気を持ち直した。
「あ、ラウルぼっちゃまのことで頭がいっぱいでいい忘れていましたが、ついでに他の市民も地下あたりにいるそうです」
ツラミルリィが遠方の城を指差す。
「まあ、ラウルなら大悪党を倒そうとして乗り込むくらいはやるか……
市民は本職に任せるとして、ラウルや幸はこっちでちゃんと見つけないとだよねー」
学園長として責任があると言う。
「ま・ラウルは私より強いだろうし、心配いらないって」
プリマジェールははっとする。
「がうがう」
ドラ子はなにかを感じ宙に浮く。
「そうですね。―――それに、彼等の心配をしている暇はないようです」
ツラミルリィは後ろを大きく振りかえる。
四方八方に、気味の悪い怪物の姿がある。
「けほっ……」
人間を腐らせたように汚染された皮膚、悪臭がドラ子の鼻腔をついた。
「あははははははあぁ!!
人間の倍の嗅覚を持つドラゴンにはぁパケットモンスターさんたちのフレーバーがぁべらぼうにきついようですねぇ~!」
狂ったように、話す女。イッテルヴィウム製の細杖をくるくると回転させる。
「こんなになるまで薄ぎったない奴の気配を感知できないなんて……私も年かなあ……」
プリマジェールはホウキの上に飛びのると、そのまま立ちあがった。
うじゃうじゃと、ゾンビィの群れが三人をとり囲む。
「あー大変だーザコに囲まれてる。こわいや~」
とんだ茶番劇場。プリマジェールは真顔で棒読みになる。
ゾンビィを火炙りにした。
「きゃっきゃっ!」
ドラ子は飛び、翼で風を起こしゾンビィを吹き飛ばす。
「ムダムダァ!ゾンビィは何度でもよみがえるんデスヨォ!!」
「これはこれで楽しいですね」
ツラミルリィはツーリウム製ロングブレェドでゾンビィを切り刻んだ。
ゾンビィは絶えた。
「なななな……」
女は酷く動揺し、慌てふためく。
「なんのようかしらないけど、観念したら?」
「あはははははは!」
女の目がカッと開かれる。そのまま壁に頭を打ち付けた。
何度も何度もまともではないほどに。
「いろんないみでヤバイ。今のうちに悪霊退散しよ」「あははァ……にがしません……」
サダァコのやゆうに長い髪を振り乱しながら四つん這いで這う女。
「うわああああああああ」
迫るは、おそろしげなるもの、絶対絶命であった。
「死奴前荷目藻利異化亜度野出胃他差区徐〈死ぬまえにメモリーカードのデータサクジョ〉!」
「違う方の本職キタアアアアアア」