Ⅷ 決着
山に登るはいいが―――――。
「マキナさんってテラネスと似た星に住んでたんですね」
「そうなの」
「あ、これ惑星ウィラネス限定のロイヤルゴシップ誌!」
なぜ仲良くなっているのか。
「ロボが人間の変わりに働くから私達は不自由無く、楽に暮らしてたんだけど
家に黒服の政府の犬が乗り込んできて私、なぜか異世界につれていかれたんだよねえ」
裏の政府に異世界連行だと…笑い事じゃないだろ。
「どうやって強くなったんですか!?元からですか!?」
「まっさかー。なんか異世界に行ったら力がついてて、三年くらい修行してマジで強くなってた。みたいな?」
こいつまともじゃねえ。
「なんでこっちにきたの?」
「星を転々としてたんだけどナントカホールに入っちゃって、気がついたら学校のコンクリに落下しそうだったからダメージを減らすために地面に攻撃したの」
「へー」
興味ないなら聞くなよラヴィーナ。
それにしても、ただの非力な人間だったのが異世界に飛ばされて、順応してたった三年で、最強のオレと張り合う気でいる。
まともじゃねえ…とんでもない奴と出くわした。
「ここもいいけどやっぱり元の世界にかえりたいわー」
「なら早く元の世界とやらに帰れ」
チラチラこっち見やがって。
「ついた」
ダラダラ話している間にTHE・ドラゴンが住む岩間の洞窟に到着。
「火に水…ドラゴン共が入り乱れてやがる!お前らは下がっ―――――」
「あ、ミニドラゴンだ~」
「かっかわいいです」
のんきなのか度胸が座っているのか、ふわふわとした雰囲気のラヴィーナとユキ。
視線の先にはひらサイズの小さなドラゴンがいた。
「ヘブっ!!」
まるでGのように、油断したときを狙って顔面に突進してきやがった。
「ほらほらドラゴン狩りだよ!!遊んでないでさあー!!」
「この最強たるオレが、負けてたまるか!!」
ついカッとなり、必要以上に魔力を暴発させてしまった。
「崩れる!!」
ラヴィーナが先にユキを連れて外に出た。
「あれ!?」
「おい…」
ウスデが逃げようとしない。
どうやらドラゴンに刺さったブレードが、硬化で抜けなくなったらしい。
「私のことはいいから」
「馬鹿言うんじゃねえ
不戦勝なんて不名誉なことをオレがさせるかよ!」
出口を見やると、すでに閉じられていた。
抜けることはかなわない。
崩れる洞窟から抜け出すには、どうすればいいか―――――。
いや、抜け出すんじゃなく洞窟を破壊してしまおう。
「ウスデ、オレから離れるなよ」
「うん?」
ウスデはブレードを掴んだまま、オレの左肩を左手で掴む。
「オレはこの洞窟を破壊する!」
「ええええ!?本末転倒じゃ…」
爆破魔法を最大で、同時にダメージを受けないようシールドをはる。
「ラウル…よかっ…ちょっと!マキナさんからはなれてよ!!」
「ラウルくん…よかった無事だったんだね!」
「当然だろ」
「洞窟のドラゴンは多分全部倒された
おまけに助けられちゃって、あたしの完敗、ラウル君の勝ちだわ~」
「礼は必要ない弱者から感謝の言葉を搾取する気は無いからな」
「うん。でもさ私痛覚ないしもしあのままグチャッてても再生できるんだ」
「は?」
なんだそのあり得ない肉体。
「おい!その身体はどうやって手に入れ「あ、そろそろ元の世界に帰るね」
ウスデはブレードについていたボタンのようなものをカチりと押した。
「くそっ!!学園に戻るぞ」
「え!?あ、まってよラウル!!」
「マキナさん自力で帰れるならなんでわざわざ戦ったんだろう…?」




