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リーゼロッテ#6


******


堅牢な城を思わせるような佇まいに、緑豊かな広大な庭。


敷地の周囲には来る者を拒むような頑丈な石壁が張り巡らされている。


だれがどう見ても、金持ちの家だ。

それも超が付くほどの。


それもそのはずで、この邸宅はかの四大貴族の一つ、フルーネフルト家の邸宅なのだから。


そんな馬鹿でかい邸宅の、これまた馬鹿でかい鋼鉄製の門の前に、一台の馬車がやってきた。


しつこいようだが、馬車に関しても馬鹿でかく、更に豪奢だ。


馬車がやって来るのを確認していたのか、門前に立っていた屈強な男2人が重厚な門を両手で押し開けていく。


恐らく、この男達は衛兵ー。

つまるところ、フルーネフルト家の私兵なのだ。


開かれた門に向かって馬車は再度進み出した。


白馬2頭に引かれた馬車は、そのまま敷地内を通り、やがて邸宅中央に位置する車寄せ部分にゆっくりと軽やかに停車した。


それを見計らった様子で、今度は颯爽と執事服を着た男とメイド服を着た女が現れた。


執事とメイドは恭しい手付きで馬車の扉を開き、そして踏台を用意し、またしても恭しく頭を垂れた。


これ程までの丁重な扱いを受けた人物が馬車から姿を現した。


太陽の光を浴びて、キラキラとした長い銀髪がそよ風に揺れる。


リーゼロッテだ。


彼女は執事が差し出した右手にそっと自身の右手を添えると、軽やかにステップして馬車から降り立つ。


そして出迎えた執事とメイド以下10名程度の使用人たちに向かって笑顔を振りまく。


その主人の振る舞いに、使用人達は再度恭しいお辞儀を見舞った。


「お帰りなさいませ、お嬢様」


そう言って前に歩み出たのは執事の男だ。


黒の執事服に身を包み、少し白髪交じりの黒髪をオールバックに仕立てているその見た目はいかにも家令と言っても差し支えない。  


「ただいまスチュアート。皆んなもただいま」


リーゼロッテは執事、もといスチュアートと他の使用人達に向かって適度な挨拶を交わすと、執事とメイドを両脇に、邸宅内へと入っていく。


エントランスは床は大理石で覆われており、壁や家具等の調度品は、どれもこれも高価な物が備えられている。


そんなエントランスを囲むように長い階段が上がって左右に2本降りており、リーゼロッテは左側の階段をゆっくりと上がっていく。


階段を上がり、続く廊下を真っ直ぐに進むと、また階段が現れた。


その階段を更に上がり切ると、目の前に吹き抜けの空間が目に入った。


真下は先程のエントランスがあり、上を見上げれば同じような空間が高く続いていた。


では、リーゼロッテはまた階段を上がるのかと思いきや、上階には上がらずに邸宅奥に向かって、廊下を進んで行った。


そして、ある部屋の前で立ち止まると、扉を開ける素振りをしながら、ずっと付いて来ていた執事とメイドの方を向いた。


「2人ともありがとう。今日は疲れたから少し休むわ。また用があったら呼んでちょうだい」


リーゼロッテの言葉に、執事は黙って頭を下げたが、メイドの方は動揺した表情を浮かべ、


「お、お嬢様、まさかお身体の具合でもよろしくないのでしょうか!」


と、過度な反応を示した。


これに対してリーゼロッテは頭をフルフルと横に振る。


「いいえ、そんなことないわ。ただ少し疲れただけ。心配してくれてありがとう、テレサ」


「お嬢様、もし何かあればすぐにこのテレサめにお申し付け下さいませ!もしお嬢様の身に何かあれば、テレサは、テレサは…!」


テレサと呼ばれたメイドはリーゼロッテに異常なまでに近付き、今にも泣き出しそうな表情を浮かべる。


「あぁ、もうテレサったら。ほんとに心配性なんだから。…スチュアート、私は大丈夫だから、テレサをお願いね?」


「かしこまりました。それではお嬢様、またご入浴の手配が出来ましたらお声掛けさせて頂きます」


スチュアートはそう言うと、テレサを引き剥がすかのように首根っこを掴み、そのまま綺麗なお辞儀をした。


「うん、ありがとう。よろしくね」


リーゼロッテはニコリと笑い、そのまま部屋へと入って行く。





次回は入浴シーンですかね。

ちょっぴりHな展開になるかも……?

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