第二章あとがき
こんにちは。Sefarです。
第二章はこれで完結です。お疲れ様でした。
まずはホントにこの度は申し訳ございませんでした。
7月に入って、軌道に乗り始めた矢先に3ヶ月も休載してしまって・・・・
あと、ほとぼりが冷めてもなかなか再開する事が出来なくて・・・・
僕自身も今回の一件で編集と連載は一緒にやっちゃいけないんだという事を
実感した次第でございます。
編集と連載を同時にやる力量は僕にはないんだと感じた次第であります。
休載後、原稿を見直したのですが直すところもたくさんで、大惨事でした。
そもそも4月26日から連載開始した時点で第二章までの未完成原稿は僕の手元にありました。
第一章の原稿の手直しが終わった時点で連載を開始したので半分ほどは
「連載しながら直していけばいいや」と早く連載したいゆえにそう踏み切ってしまい、
その通りに出来ず、このような休載が長引いてしまう事態を招いてしまいました・・・
本当に申し訳ございませんでした。
ようやく第二章が完結して、ひとまずこれで物語も実質、
最初のシリーズが終わったようなものです。理由が後述。
今回からはちょっと第一章も時々含めた解説も踏まえて、あとがきをやっていきたいと思います。
◎執筆の経緯と第一章との関係
さて、今回の第二章は第一章第17話で語られた、「樫木事件」の伏線の回収と、
第一章後半から見て3年前のフォルテシアを主人公にJGBの活躍を描く目的で始めました。
第一章は2036年から始まりますが、フォルテシアと零が出会う時点では2037年なので3年前とカウントしています。
当初は「謎の連続殺人を追ってやがて黒幕をとっ捕まえる」という大筋は出来ていました。
ゆえに警察代表でもある蔭山警部も主人公扱いでフォルテシアとダブル主人公にしようとも考えてました。
が、いざ描き始めるとサカ、ヴィルヘルム、アークライト、荒城、スカール、樫木と
色んなキャラの視点や場面を描く必要があると考え、それをやりながら本筋を進める方向で固まり、
結局、第二章の中心的な主人公は第一章で零をサポートしたフォルテシアだけに留まりました。
そもそも第二章の構想は一番最初に第一章を描く時点で考えていたぐらいです。
僕自身、こういうイジメを風刺した感じのを一回はやりたかったという気持ちが強かったのもありますが、
第一章が本当に第27話以外全部が零の物語なので、第二章からは主人公を定めながらも群像劇らしさを出した感じですね。
同時に第一章に繋げたかったので、最終話だけは時間が飛んで第一章の後日談という形で
おしかりを受けたフォルテシアは零との出会いから3年前の樫木事件を思い出し、回想する形で終わらせました。
ここの最終話での回想はフォルテシア視点からの第一章の補完的な意味もこめられています。
第一章でフォルテシアが零にやたら親切だったり、JGBが
学校に裏から介入したりしたのもこの第二章の出来事があったからこそです。
ひたすらイジメの復讐を考え、そのためならば人生をフイにしても構わない程のレベルの樫木は
たとえ逮捕されたとしても、事件に関わった他のキャラや世の中に様々な影響を及ぼしていると言えますね。
しかし、それでもイジメがなくなるというわけではなく、
第一章の2036年~2037年には「そんな事もあったね~」程度に時間が経つごとに風化しています。
フォルテシアなどはしっかり記憶に刻み込んでいても、人々の記憶からは離れつつあるので、
現に零はソルジャーに覚醒した事でいじめられました。
といった形で第二章と前作の第一章は非常に繋がった関係にあるので、
ある意味、この二つをくっつけて真の一つの章とも言える構成になっています。
3年間の空白こそありますが、フォルテシアや蔭山警部などの視点では第二章の後日談が第一章であり、
零にとっては第一章が最初の物語で、第二章は過去エピソードという形になりますね。
◎樫木麻彩について
そして、ここからは今回の第二章の事件の発端でもあるラスボス、樫木麻彩について。
彼はこれまでの他の悪役とは違う悪役を目指しました。
シーザーやスケアクロウ、レーツァンやダークメアの面々が
マシに見えるぐらいの、救いようがない哀れでしぶとい悪役といった感じですね。
これまでの悪役は各々がいずれも自分の欲や自分の保身のためといったものが根源にありますが、
樫木の場合は欲望よりも「憎しみから来る復讐」であり、歪んだ正義を振りかざしています。
世間にはとっくに忘れられたイジメ自殺事件の過去の加害者が次々と殺されるという展開にしたのも理由は二つです。
一つが、僕自身が「リアルでイジメ自殺事件やイジメの末に人を殺すような事件が起こる度に許せないと思う気持ち」と
そもそもの根源である「いじめられた経験」から来る自分自身の憎しみから、これを投影したくて仕方が無かった事です。
もう一つが、イジメ自殺事件という悲劇を繰り返したら、いつかリアルでもいじめられっ子が
復讐目的で殺人を犯してしまいかねないという社会への僕なりの警告もこめています。
いじめられ続けた人の傷は消えない・・・・そしてその傷は時として、狂気を生み出す要因にもなるという事です。
樫木麻彩と黒條零はそれぞれが正反対の立ち位置にいるキャラでもあります。
一言で言えば、零はいじめられても頑張って状況を打開出来たキャラ、
樫木はいじめられて頑張ったけど道を踏み外してしまったキャラですね。
零はある日ソルジャーに覚醒してそれが原因でいじめられてもずっと歩美がいてくれたので
一時自殺をしようとした事があっても、歩美が助けてくれたお陰で切り抜ける事が出来ました。
零は自分を育ててくれた家計も苦しい親戚のために一人暮らしを決意するほどのしっかり者。
ゆえに、事の重大さを知るとたとえ凶悪なソルジャーがやってきても自分と歩美を守るために
動いたために樫木のように復讐者にはなりませんでした。
一方で樫木は零で言う歩美のような優しく接してくれる心の支えとも言える存在もおらず、
母親も理不尽な事件で失ってしまい、ただいじめられてばかりで抵抗しても屈辱を味わう日々。
そんな中、ソルジャーに覚醒して誰にもない力を手にした事で徐々に感情がエスカレートし、
ついには心の底からどんどん復讐者に染まってしまった・・・・というものです。
高校卒業して就職してもその後レーツァンの手下になっても憎しみは樫木の中でずっと生き続け、
2034年まで溜め込んでいたらイジメ自殺事件が起こった事を知り、
それで弾けて第二章の一連の事件を引き起こしてしまいました。
ただ、樫木も結局の所は世間のニュースでよく報道される
気が狂った通り魔や殺人犯と変わらず、"哀れな存在"でもあります。
殺した相手の大半が隠蔽さえされなければ、世間から憎まれるべき存在であったからこそ、
英雄扱いされているのであって。
その証拠に、樫木はソルジャーとしての強さも特別強いわけではありません。
ナイフを折り曲げたり、ビルの床や壁を破壊するほどのパワーも
あの時燃え上がっていた異常すぎる憎しみ補正がそうさせていたのであって、
素の力はカヴラみたいなガタイも良く、パワーが自慢のソルジャーよりも弱いです(笑)
因みにカヴラは第一章ではジーナと戦ってますが、
シーザーの攻撃を全て食い止めた第一章時点の零のシールドを軽く粉砕するぐらいの腕力はあるので、
カヴラがもし零と戦っていたら間違いなくその樫木以上のパワーで追い詰めていたと思います。
現にジーナがカヴラを引き受けたのもそのためですね。ダークメアの武闘派幹部として名が知れてる以上、
素人の女の子に相手させるわけにはいかなかったという・・・・
かといってあの状況で主犯であるスケアクロウとその女の子と戦わせるジーナもどうかと思いますがね(笑)
ではそんなカヴラに対して、樫木本人はと言うと自分のソルジャーの力である、
「触れているモノや自分を透明に出来る力」を自ら最強の力と豪語するものの
レーツァンにも動きを読まれて止められ、フォルテシアと戦い、
憎しみを武器に最後まで必死に抵抗するものの撃破されています。
影分身や分身など常人離れしたソルジャーらしい身体能力はあるものの、
音を立てて敵に居場所を教えてしまうなど、ソルジャーの力を使いこなせていないです。
本当にただイジメへの憎しみだけをぶつけ、強引に敵をねじ伏せるだけの戦法です。
人によってはただの自分のエゴを強引に通してるだけの凶悪犯罪者にしか見えません。
しかし、人によってはノウノウと生きている殺人者を裁いた偉大な英雄にも見える男。
ですが実際の所はイジメ自殺事件が起こっても周りの大人達がちゃんと対処せず、
自分達の都合良く、臭い物に蓋をし続けた結果、繰り返されてきた悲劇が積み重なり、
生まれてしまった負の結晶とも言える化け物・・・・それが樫木麻彩という男ですね。
最後に、あえていじめを「イジメ」とこの章だけ全部カタカナにしているのは強調するためだったりします。
◎「ソルジャーズ・スカイスクレーパー」世界のマスコミ
この世界のマスコミはすぐに圧力負けしてしまう上にこの世界や
読者視点にとって肝心な事を正しく報道しないです。
一見、表社会しか知らない人間には問題はないように見えます。
しかし、裏社会を知り一つに見えて実際は二つに切り分けられたこの世界を
把握した人間にとっては違和感でしかなくとにかく問題だらけです。
ソルジャー同士の抗争、つまり裏社会の抗争も正しく報道しないですし、
大規模な戦いが起こってもそれはテロや事故などに置き換えてしまい、
イジメ自殺事件は多少は報道されるものの数は少なく、すぐに圧力で消し去られてしまいます。
更に民衆の間ではインターネットなどを駆使した根拠のない噂や都市伝説、
オカルト的な話題が広まる事も合わさって、ソルジャーが異端的に見られてしまっています。
根拠のない噂や都市伝説も裏社会で繰り広げられるソルジャーの抗争や
上記のマスコミのソルジャー関係の事件の情報の捏造が遠因でもありますね。
ソルジャーとかソルジャーソウルとか特殊な単語を一部の人間にしか知らないにも関わらずです。
ネットの世界もネットの世界でマスコミとはまた違う意味でホントに正確な情報がない場所でもありますね。
また、この世界のマスコミの無能さは同時に表社会と裏社会が
大きく切り分けられている原因の一つにもなっています。
裏社会の情報は現実以上に表社会に浸透しませんし、
そんな放置された裏社会は裏社会でソルジャーの存在も相まって、
現実とは違うベクトルで大きな発展遂げています。
◎第二章が完結して残るもの
さて、改めて、この第二章が完結した事で僕の中ではやっと一つの章が終わって一段落という気持ちです。
第一章は始まりで、第二章は第一章に繋がるその過去編でもあり、前日談でもあったので。
未定ですが、この二つで何かしら「○○○編」とかタイトルつけて、
シリーズ化してしまいたいぐらいなんですよ。
で、そんな一つのシリーズ(仮)が完結して、これからどうなるのか。
勿論これで終わりというわけではありません。
第一章で歩美との突然の別れが原因で心を閉ざした零のその後、
いずみ島とはどんな場所か、
フォルテシアとレーツァンの因縁、
根来亮二と岩龍会の存在、
楠木大和はどのようにして殺されたのか、
フォルテシアの明確な生い立ち、
第一章と第二章の空白の3年のエピソード・・・・
未解決のものがまだまだたくさんあります。
ハッキリ言います。「ソルジャーズ・スカイスクレーパー第三章」あります!!
この第三章のために僕は今年のシルバーウィークに時間が出来たので、
ある場所に取材目的で散歩に行ってきたぐらいです。
第三章の物語の舞台となる場所は既に作中に名前が出ている場所ですのでどうかお楽しみに。
主人公もこれまでの2人とはまた違う立場のキャラです。
第一章では最初は一般人。
でも、やがてソルジャーに覚醒して自ら戦う者となる主人公でした。
第二章では、既に戦いの場にいる主人公。
ソルジャーが抗争を繰り広げる社会をメインフィールドとする主人公でした。
で、第三章はこれまでとは少し違う感じでいきたいと思っています。
でも一般人かソルジャーの二択だと思って下さい。宇宙人は有り得ません(笑)
既に作中で登場している既出のキャラではありません。
全くの新キャラが主人公やりますのでお楽しみにしていて下さい。
時系列についても、今はお楽しみという事で伏せたままにしておきます。
ただ、ヒントを言うなら2034年4月より前には遡らないです。
第三章はまた新しい物語が開幕します。
連載開始時期に関しましては・・・・・
実は言いにくいのですが第三章は現在まだ執筆中なんです・・・・
原稿が完成次第、2016年連載開始予定とさせて頂きます。
プロットは出来ています。あとは原稿との格闘です。
しかし、11月はスケジュールの関係でなかなか執筆に着手出来ませんでした。
ゆえに執筆が遅れてしまったのもあります。申し訳ございません。
まだまだたくさん書かないといけないものが残ってます。
あと、これまでよりも特に設定固めを念入りに行った事も
執筆が遅くなった要因でもあります。
休載挟んでしまいましたが、第一章と第二章完結して一区切りまで年内に行けました。
2015年の「ソルジャーズ・スカイスクレーパー」、これで完結です。
「第1シーズン・完」といった所でしょうかね。
来年もいつ、再開するかは未定ですが、
目処がついたら活動報告で近況報告したいと思います。
2016年に準備出来次第、第2シーズン開幕という事で・・・・よろしくお願いします。
ここまで読んで下さった方、本当にありがとうございました。
もし宜しければ、第三章からもお付き合い下さい。
それでは。良いお年を!




