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ソルジャーズ・スカイスクレーパー  作者: オウサキ・セファー
第二章 トリカブトの華
40/120

第8話 情報整理

7人目の被害者、諸木坂剛の殺害現場の捜査を行った日の正午過ぎの事。


フォルテシアの手によって、JGB諜報部が先行捜査し、まとめた

今回の事件に関するレポートが俺達警察にも提供された。


そしてJGBも伴って、警視庁にて今回の事件の内容を整理、

及び今後の事を話し合う緊急対策会議が今にも開かれようとしていた。

既にJGBも裏で今回の会議の準備を進めていたようで、そのままこのような状態に発展した。


ざわざわと騒がしく、いつ会議が始まるのか、緊迫した雰囲気が部屋を支配する。


部屋の中に前から後ろまで何列も並ぶ縦長の白い机。

今は何人もの刑事や捜査員で埋め尽くされている。

俺はちょうど3列目の左側、窓際の席だった。


俺や部下の川口、新田をはじめとした他の刑事達にも事件現場で

フォルテシアが言っていた事を裏付ける内容のレポートが配られた。


正面には巨大なホワイトボードとプロジェクターがある。

そのため、部屋は電気が消され、薄暗い。

窓もブラインドで閉ざされていて、日差しを遮っている。


これから先行捜査を行い、レポートを作成した

JGBの諜報部の捜査官がやってきて、直接説明を行う。

後ろを振り向くとフォルテシアも副長官も俺らよりも

ずっと後ろの席に並んで座り、二人で何やら話をしている。



まさかこんな事になっちまうとはなぁ・・・・・




俺は緊迫する空気の中、ため息混じりに渡されたレポートをもう一度軽く目を通す。

あの後、この会議が始まるまで猶予があり、レポートを渡されてざっと読んだ。

内容から察するに犯人(ホシ)はテロリストか?

一つの事件への復讐ならば、単純な怨恨の線で片付けられるのだが。


だが、それと今回は違う。過去に起こった

二つの関連する事件に関して、復讐殺人が行われている。


発見されたばかりの7人目の被害者、諸木坂剛を除けば、全員がその二つの事件に

何かしら関与している事がこのレポートには記載されている。

二つの事件両方に関与している人間は一人もいない。



花言葉で目的が復讐と分かっても、こんな内容じゃとても

俺達だけで学校でのイジメ問題絡みまで行き着いたかどうか・・・・怪しいと言いたくなる。



おっと、そろそろ時間のようだ。

ホワイトボードとプロジェクターの横の扉から茶色いコートを着た

若々しい黒いオールバックの髪をした捜査官の男と

ワイシャツに黒いタイトスカート姿のふちが紫のメガネをかけた

金髪の長い髪の女が顔を見せるとその場で騒ぐ全員が一斉に静まり返る。


捜査官の男が前に立って自己紹介する。



「本日はお忙しい中、このようなお時間を頂き、誠に感謝致します。

 私はJGB諜報部刑事事件担当課一係の荒城憲一あらき けんいちと申します。

 本日は宜しくお願い致します」


オールバックな髪型にいかにも熱血で厳格そうなツラをした

荒城という男はその外見に似合わず、誠意を込めた挨拶をし、頭を下げた。



「私は彼の上司でJGB諜報部の責任者の

 折原沙奈美おりはら さなみと申します。本日は宜しくお願い致します」



女の方も落ち着いた物腰で誠意を込めた挨拶をし、頭を下げた。

相変わらず、品のいいセレブみたいな感じの女だ・・・・

男の方は初めてだが、折原はそうじゃない。

何かと仕事上、顔を見る機会もあるが甘~い香りがする女だ。



「では、まず私の方から今回の事件の基本的な特徴とこれまでの流れを説明した後、

 我々諜報部の方で新たに判明した事について説明をさせて頂きます。

 まずは1ページから・・・・」



そう言って、荒城はプロジェクターをつけながら、説明を始めた。

折原が入ってきた入口横のボタンを操作して部屋の明かりを消す。

プロジェクターにはレポートの内容がある程度割愛された内容や図が

光と共に表示され、彼の説明と共に会議は進んでいく。


まずはこれまでの事件において基本的な特徴を改めて荒城が淡々と説明をしていく。

ここら辺は俺もレポートで前もって確認してるので理解できていた。

適当に耳を傾けつつ、レポートをめくって確認していく。



その特徴を振り返ってみる。



まず、犯人(ホシ)は必ずナイフ状の凶器で腹を何度も刺して殺している。

そして現場には必ず一輪のトリカブトの花を置いていく。



自宅で死んでいた3人目の鬼築正和と今回の7人目の諸木坂剛を除いて、

それ以外は外で殺害されている。


鬼築は家ごと襲撃されて荒らされた挙句、殺害され、死体は浜辺に遺棄されていた。

諸木坂は家で殺害され、部屋を荒らされ、死体はその場に遺棄。



内容を準々に追っていくうちに議題はなぜ、

犯人は人を殺したのかという話に切り替わっていった。



無論、それはもう言われなくても俺は分かっていた。

だが、庁内ではまだ知らない奴も多い。

初耳だった奴らから一部、どよめきの声をあがった。



犯人は「復讐」のためだけに殺しを繰り返している。

レポートの内容から、過去に学校で起こったイジメ自殺事件の

被害者を実質殺した加害者への復讐のために動いているのは確かだ。

過去の怨念がどこからか這い出て来たというわけだ。



荒城はトリカブトの花言葉を改めて説明した上で、これまで殺害された7人のうち、

諸木坂を除いた6人が過去に起こった2件の

イジメ自殺事件に何らかで関与していた事をその場で発表した。


改めて一部からどよめきが走る。一人、中央の列の真ん中に

座る刑事で諸木坂がなぜ殺されたのかと質問に走る若い奴がいたが

荒城は「すいませんが質問は後にして下さい。我々にもまだ掴めてません」と手を前に止める。



諸木坂がなぜ殺されたかの議論はひとまず後に回す事となった。

唯一、7人の中でも過去の事件に関与しているかまだ分かっていない。

まぁ情報が少ない以上、後回しにするのが賢明だろうな。



「皆さんも、今回の被害者達の人間関係など、洗いざらい

 調べられたと思いますが、イジメ自殺事件が関わっているとは

 思わなかったでしょう。事件の実態も長い時の中で隠蔽されていましたので」



荒城の言う通り、俺達の手元にあるこのレポートにもあるがイジメ自殺事件は

うち一件は地元の警察も被害者遺族の被害届に応じて捜査をしたはずなのに

なぜか次第にまるで事件はなかった事のように揉み消されていたという。

地元の警察の捜査記録からも抹消されていたとか。



これは"ある団体"からの圧力によるものだった。

事件の存在が残るとヤバイと思う人間の仕業だった。それは・・・・・



と、話はいよいよ、この事件の本題とも根底とも言える

過去に起こった学校でのイジメ自殺事件の話へと入っていくようだ。

殺されたばかりの諸木坂を除いた6人全てがそれぞれ関与している二つのイジメ自殺事件の話だ。



「今回の連続殺人事件は過去に起こった2件のイジメ自殺事件に関連しています。

 殺された6人が関わっている以上、間違いありません。

 が、それらは時期も現場となった学校も全く異なります」



荒城がそう解説すると、プロジェクターの横の机の椅子に座り、ノートパソコンを

操作する折原によってプロジェクターにその事件のタイトルが大きく表示される。

真っ白画面に太く黒字で真ん中にこう書かれていた。






新潟県高校イジメ事件。






とりあえず、どうやって調べたか詮索するのは後にしてまずは話を聞く。

さっきの若い奴のように同じ目にあっちまう。

荒城の解説を聞きながら、俺もレポートに目を通し、確認していく。



今から19年前。2015年2月に新潟で起こった事件。

それは一人の男子生徒がイジメを苦にした内容の遺書を残して自殺した事件。


当時、被害者と同級生の加害者生徒3人は遊び半分に一人の男子生徒に

悪質かつ卑劣な嫌がらせを行っていた。


教科書やノートを盗んだり、

体育の授業の時は教室で、プールの授業の時は更衣室で、

回りの生徒が着替える中、全て脱ぐよう強要したり、

脅して家から金を持ってこさせたり、未遂に終わったが万引きを強要したり・・・・


深夜の公園に呼び出して戦いごっこと称した暴力やエアガンによる

集団攻撃を男子生徒に行い、そんな日々が半年も前から続いていた。

男子生徒は疲れ果て、遺書を残し、学校の屋上から飛び降り自殺した。



学校も管轄の"教育統制委員会きょういくとうせいいいんかい"もイジメと自殺の因果関係を否定し、

担任教師も「遊んでるだけかと思った」とコメント。


遺族の意向で地元警察も捜査を行い加害者を書類送検したが、

加害者が当時13歳で刑事責任が問えず、不処分、

更にその後遺族が起こした裁判においても不処分となっていた。


また、学校は生徒に対して口止めし、教育統制委員会は

真実が明るみになるのを防ぐために外部にも様々な工作を行った。

圧力をかけてマスコミの報道を止めるだけでなく、ネットにも業者を使って

真実をもみ消し、イジメと自殺の因果関係をより、薄れさせた。


そしてその圧力は警察にも及び、痕跡を形として

何一つ残す事無く、捜査記録からも抹消した。


俺も本当に若干だが、テレビでも当時そのような凄惨な事件が

報道されていたのをうろ覚えだが覚えている。

第一、学校で自殺なんて殆どないからな。


だが、報道頻度は頻繁にとは言えなかった。

翌日には何もなかったような状態で、

俺もその話が上がって、ようやく思い出した所だ。


確か、昔の友達ダチの付き合いで

飲まされた時にそのニュースやってたからな・・・・あれはヤバかった。



やべえなあ・・・・そんな昔の事もしっかり覚えてないなんて。脳が衰えてきたか?



そして、その事件の加害者である三人の名前の中に、

鬼築正和キチク マサカズ武高川浩一ムコウガワ コウイチの名前があった。

無論、事件が起きた当時、これらは法律に基づいて一切外部に公表されていない。


新潟で殺された二人。第三、第四の事件の被害者。

二人が同じ学校の同級生なのは分かっていたが

こんな事件が裏にあったとはとても思わなかった。


隠蔽されるのも考えれば納得がいく。

その根源は学校の上に位置する教育統制委員会の根回しと言われている。

通りで情報が出てこないわけだ・・・・・

一体、諜報部はどのように引き出したのだろうか。この情報を。


少年法によって、未成年は犯罪を犯しても

名前が報道されない以上、19年も経っていれば事件も風化し、

次第に世間から忘れ去られる。


造作もない事だろうな。

あまつさえ、徹底したマスコミとネットに対する

教育統制委員会の隠蔽工作もかけられちゃあ・・・・



風化もそうだが、長い時間の流れってのは記憶も奪ってくんだなぁ。

最前線で事件の捜査をする俺達刑事の記憶さえも。


山ほどある事件を捜査しててんてこ舞いになってるうちに

身近じゃない記憶はどんどん頭から抜け落ちる・・・・怖え話だ。



なお、もう一人の加害者は新直尚隆シンジキ ナオタカという名前だ。

今の所は殺害されたという情報がない。

だが、今もどこかで生きているのなら、今後コイツも狙われる可能性が十分考えられるな。



「・・・・しかし、彼も今後犯人の標的ターゲットになる有力候補と見ていいでしょう」



荒城もちょうど新直の事について述べた。

俺も思っていた事をこの場にいる全員にしっかりと釘を刺した。



更に、当時のこの事件が起こった新潟の教育統制委員会の

対応の指揮をとったトップの名前は菊治丸由美キクチマル ユミ

埼玉で殺害された5人目の被害者だ。

当時は上からこの件に関しては一任されていたという。


当初の情報では、彼女は大学院を卒業後、

殺害されるまで勤めていた埼玉の教育センターに勤め始めたとあるが、

これは荒城曰く、改竄された偽りの経歴らしい。


本当は大学院卒業後に新潟の教育センターと学校職員を経て

教育統制委員会に入ったとされている。


そして、改めてその場に衝撃がほとばしる。



では、事件後彼女はどうなったのか。逮捕された?いや、違う。

事件後、彼女は責任をとって退職したそうだ。

上が責任を彼女に丸投げしたのが一因。いくら何でも無理がある話だ。


その際に再就職をしやすくするためか、隠蔽の意味も込められているだろうが

経歴も教育統制委員会の根回しで改ざんされ、

教育統制委員会にいた事がなかった事にされている。


それで委員会は彼女を埼玉の教育センターに赴任させ、

殺されるまでそこに勤務していたという事になる。



要はコネだ。全く、身内の保身にはやけに優しい連中だ。腹立たしい・・・・



その優しさを被害者の子供に向けられないのかと思うと

無性に怒りがこみ上げてくる。人ひとり死んでるのに・・・・・



全く、優しさを使う方向を間違えてやがる。

隠蔽工作を行うのも加害者生徒と学校を守るためなんだろう。胸糞悪い話だ。




そして、息つく間もなく、次の二件目の事件のタイトルが

プロジェクターに白い画面に太い黒字で表示され、

荒城も解説を続ける。それは・・・・






群馬県中学イジメ事件。






今度は2021年の事件だ。今から13年前。

10月に事件は群馬で起こった。



この事件も新潟と同じく、男子がイジメを苦にした遺書を残して自殺している。

家から持ち出したナイフで自分の体中を切り刻み、

近くの適当なマンション屋上から飛び降りた。全く、酷え話だ・・・・・



イジメを行っていたのは同級生の加害者二人。その名前が・・・・



襲山喜一郎オソヤマ キイチロウ宇緒坂健介ウオサカ ケンスケ

襲山は東京で殺された6人目、宇緒坂は大阪で殺された2人目だ。


襲山と宇緒坂は同級生の男子生徒に対して、

これまた悪質なイジメを繰り返していた。



近くで拾ってきたイモムシやバッタなどの虫を食べさせたり、

服を休み時間に脱がせようとしたり、女子トイレに押し入れて濡れ衣を着せたり、

給食に消しゴムのカスをかけたり、暴力で圧力をかけて金や持ち物をせびりとったり、

他生徒に悪口や暴力を振るうのを強要させてイジメを誘発させるなど・・・・

もはや、犯罪に抵触しかねない悪質な嫌がらせを行っていたようだ。



新潟のも十分犯罪レベルだが、これも度が越えている。



それで案の定、教師も見て見ぬフリをし、

「からかい」だろうと解釈、悪乗りして面白がる始末、

学校もイジメられてるとは思わなかったと否定するなど対応は最悪だった。


この他にも教育統制委員会が明確な情報を隠蔽。

マスコミ、ネット、警察への隠蔽工作だけでなく、遺族の意向でイジメを調査する目的で

生徒に行ったアンケートも集めた上で職員が都合よくデータを改ざんしたという。



"イジメ"はなかった、と。



地元警察も被害届を持った被害者遺族を「くだらない」と罵って追い出し、

その警官が後々懲戒処分になった。


新潟の事件は微かに記憶にあったがこの事件は俺も記憶にない。

やはり報道されるのもほんのちょっとなんだろう。



俺が新潟の事件の報道を観れたのは奇跡だったのか・・・・?



なお、加害者側生徒は書類送検されたが、不処分。



改ざんされたアンケートを掴まされて納得もいかない遺族が起こした裁判も、

結果的に加害者側勝訴に終わり、加害者生徒は全員不処分・・・・

新潟の事件もそうだが、裁判の段階で報道されなかったのも

事件が起こってからのマスコミに対する工作が効いてたんだろう・・・・




・・・・・・いい加減にしてくれ。

レポート読んだ時もそうだが、改めて聞かされると

ホントむしゃくしゃする酷え内容だ。許せねえ。


遺族に提出するアンケートもまともにやらない・・・・腐ってやがる。

こんな事・・・・絶対、あっちゃならねえだろ・・・・


荒城の話を聞きながら俺は内心、憤りを感じた。




そして、最初の被害者、阿義田義文アギタ ヨシフミ

その市の教育統制委員会の一人であり、菊池丸同様、

事件に対しての対応を一任され、行ったようだ。事件後に退職。


菊池丸同様、経歴を教育統制委員会に改ざんされ、彼の本当の経歴は

大学院を出た後に群馬の地元の学校に職員として勤め、

その後教育統制委員会に入ったというもの。


委員会にいた経歴は残らず削除、

根回しで事件後に現在の岐阜の大学に赴任し勤め始めたという・・・・



全く、殆どが同じ結末・・・・か。

俺が学生だった頃は学校でセンコーや教頭、校長よりも

教育統制委員会となるとおエライさんで

学校に来賓で来た連中は皆、良い人格者と思っていた。

その組織の中身がこんなにドロドロしたものだとはなぁ・・・・・




因みに教育統制委員会っていうのは要するに大抵の学校の親玉的存在だ。

早い話が、この組織は全国規模の、"国が置いた巨大な学校法人"とも言っていい。


政府より地方団体の学校、つまり公立学校の管理を任せられた彼らは

各地に本部を構え、各地にある公立学校を統制すべく影で実権を握り、管理している。

一方で公立じゃない専門学校や大学、公立に属さない学校などは彼らの影響力や支配は薄い。

そういう学校は法人があって、特にレベルが高い所だと国立だったりするからな、全くだ。



荒城曰く、職員以外にも隠蔽工作のための非公式の直属の工作員部隊が存在する他、

ネットに情報が流出してもそれを削除する多数の業者と繋がりがあるようだ。

その業者も表向きはネットに事業を展開する企業が中心に副業としてやっているのが大半・・・・



とにかく、調べれば調べるほど黒い噂が絶えない連中のようだ・・・・



因みに教育統制委員会を監督するポジション、つまり上には文科省が存在する。

が、資料を見るにどちらの事件も当時、動いた所で事態を良い意味で

丸く収めるまでにはいかなかったらしい。

そりゃそうだ。そもそも人ひとり死んでる時点で事態は深刻だし、

現場の人間がしっかりしてればこんな事件も起こるわけがねえ。

教育統制委員会は上すらも出し抜いてたって事か・・・・・



生徒が自殺した学校は場所は違ってもどちらも公立だ。

彼らの支配下である学校でそれぞれ生徒が自ら命を絶った。


学校の名誉と自分達の地位と飯の種を守るために加害者生徒を守るんだろうな。

だからこういう隠蔽や改ざんとか汚え事も平然とやるんだろう。酷え話だ。




「・・・・以上が、今回の事件に関わる過去のイジメ自殺事件に関する我々が調べたデータです」



荒城による、過去の事件と教育統制委員会に関する話が終わった。



「これを見て納得頂けましたか?犯人の目的はイジメ自殺事件の加害者への復讐、

 またいつ、同様の事件が起こるかも分かりません。早急な対応が必要になります」



「何か質問はありますか?あるならば挙手をお願いします。

 なければ、今後の事を話し合いましょう」




「はい」




荒城が質問を呼びかけた所で俺はどうやって一連の情報を聞き出すべく、

そっと右手を挙げようとしたが、なんと俺よりも先に

前の方の席に座っていた刑事部長が静かに手を上げた。

刑事部長・・・まさか・・・・・




「では、刑事部長」




「今回の情報、我々警視庁でも入手出来なかったこの情報、

 なぜあなた方が入手出来たのでしょうか?詳しく教えて頂きたい。荒城捜査官」



普段は怒ると怖く、何かとJGBより先に犯人ホシを確保する事に

拘る刑事部長がそれを剥き出しにする事なく、静かに質問を述べた。


刑事部長の質問の前に荒城は自分から見て左側にいる折原の方を向いた。

何か合図をとったようだ。折原がそっと首を縦に振った。




「はい。実は、我々も岐阜、大阪・・・・と今回事件が起こった順番に捜査を行い、

 新潟の第三と第四の被害者の中学校の母校が同じという事で、私もその母校へ行きました。

 が、我々の前に幸運にもある"情報提供者"が現れまして・・・・それが全ての始まりでした」




ここはひとまず、荒城の話にじっと耳を傾ける事にする俺であった。

情報提供者・・・・・?



一体、誰なんだ・・・・・?


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