第12話 本格覚醒
神々しい銀色の光の中で私の両手に現れた二つの黒い剣のような武器。ようやく武器らしい武器を手に入れた私は強く確信した。今ならば勝てる。
さっきまでは逃げ回るしかなかったけど、今は違う。この両手に握られた剣がある。
右手に握られている剣は鍔がダイヤの形、対する左手に握られている剣は鍔が×の形をしている以外、違いは見られない剣。
この剣は先端が強く尖っているけど、刃は相手を斬りつけられるようには出来ていない。固く、重く作られた鋼の棒のような感触で重さを武器に叩いたりするのが有効かも。使い方はまだ全然分からないけど、これで叩いたり突いたりして攻撃する事は出来るはずだ。
私はシーザーの方を向き、真剣な眼差しと共に左手の×の形をしている剣の先端を彼に向けた。
「シーザー、勝負よ。あなたを倒して、歩美を助ける」
すると、さっきまで驚いていたシーザーは表情を変え、余裕な表情で笑い出し、
「ク……バァハハハハハ……!!」
「土壇場で力を発動したようだが……それ使いこなせるのかねぇ? 持ってても使いこなさなきゃオレには勝てねえぜェ!!!」
シーザーは両手の大バサミを上にあげて両手のハサミをこちらに向け、威嚇する。
「オレは大バサミのシーザー様だァ!!! 異名を持つオレとひょっこのお前とじゃレベルがちげえすぎんだよ!!!」
「おらあっ!!!! この技で実力差を教えてやるよ!!! これがオレの一番つええ技だ……受け切れるかァ!?」
「シザー・デッサギロチン!!!」
シーザーの体から激しく燃え上がるようにこれまでにないスプリンググリーンのオーラが凄まじい勢いで湧き出る。私の光と同じだ、強い力がシーザーから放たれているのを感じる。
シーザーの両腕にある、そのままでも十分、人を簡単に真っ二つにしてしまうほどの大きな楕円形のハサミがムキムキムキムキと変形し、伸びて巨大化していく。
やがて、変形したハサミはさっきまでの楕円形ハサミと違い、刃が巨大な死神のカマのように細長く伸びる切れ味抜群な禍々しいものへと変形を遂げた。
さっきまでと違い、細い形状で長く伸びている。まるで四本の長いかぎ爪のようだ。先端が鋭く尖っている。
ハサミは先ほどよりも倍の大きさとなり、少し遠くにいても、私に攻撃が届くくらいだ。
細くなった事で尖っている先端から刺されれば、内蔵をそのまま一突きにされるだろう。より相手の攻撃を瞬時に読んで避ける必要がある……武器を手に入れたからって気を抜いてはいけない。
幸い、さっき逃げ回った事で縄に縛られて動けない歩美から距離は離れているので歩美を巻き込んでしまう心配はないけど、戦いに巻き込まれれば勿論、終わりだ。両足、いや体ごと切断される……
怖い、けど逃げない。歩美を助けるために。武器だってあるのだから――この未知の力を持った武器が。
ズシャァッ!!! ズシャァッ!!!
「おらあっ!!! どうだァ、デスサイズを模した恐ろし~リーチ長いハサミだぜェ!? お前の体を遠くからぶった切る事も、突き刺す事も出来る!!! これで終わりだなァ!!」
シーザーは両手から各二本ずつ長く伸びる四本の刃で右へ、左へ、と目の前に向かって斜めに裂き、言い放った。そして……
「バァーーーーーッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
シーザーは両手を広げて笑い、両手のハサミの刃を後ろに向け、笑い声とともに頭から一直線に走って突っ込んでくる。
私も奴の動きを見失わないように右横、左横へと体を動かすけど、シーザーは私に狙いをつけ、ミサイルのように追ってくる。
両手の細くて長い巨大なハサミを両手とも横に出して私に狙いを定め、ある程度私に近づくと足を止め、両手の巨大ハサミが二つとも口を広げ、鳥がクチバシで獲物に食らいつくように私に襲いかかる。
「死ねェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!」
左右から迫りくる細く長い四本の刃に私は挟まれそうになる直前で、私は迫りくる刃を体を低くして避ける。
そして、すかさず避ける前の私がいた所にハサミの刃を正面に伸ばして隙を作っているシーザーの右横に武器を持ちながら素早く前転し、回り込む。
素早く立ち上がり、彼に近づき、隙だらけの所に鍔が×の形をした左手の剣で横から、遅れてこちらに気づき、こちらを向いたシーザーに一撃加えた。
「ぐぁああっ!!!!!!」
シーザーの左脇腹に傷を負わせた直後、私はすかさず左手の剣を引き抜いて後ろに少し下がる。やっぱり普通の人間じゃないのか、この程度では仰け反る程度で倒れたりしない。普通の人間ならば、痛みで間違いなく倒れて動けなくなる。刑事ドラマとかでの話だけど。もう少しダメージを与える必要があるようだ。
「チクショウ……いてえ……」
シーザーは私が剣で刺して出来た傷から流れる赤い血を左腕で抑える。手がハサミなので、手で直接抑える事が出来ないんだろう。左手のハサミが使いづらそうだ。
私はそんなシーザーにこう言った。
「シーザー。私の友達をさらった報い、その痛みで味わって」
「……ざけんじゃねえェ!!!!! シザー・フルバスター!!」
先ほど食らったフルバスターとは違い、細長くなった事でハサミの先端が尖がり、殺傷性が高まったシーザーの無数の串刺し連続パンチが私に襲いかかる。傷の痛みをもろともせずに技を繰り出してきた。
「くっ……」
私は反射的に無意識に剣を交差させ、怖くなって目をつぶって防御の構えをとった。その時だった。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラーーーー!!!!」
「えっ……!」
私はそっと目を開けると目の前の光景に驚いた。シーザーの強化版連続パンチが押しきられない。私の体も傷つかない。
私が無意識に構えた剣を中心に私の前に薄い銀の光の壁を張ってくれてるからだった。ガラスのように薄い私の前方に現れた銀の丸い壁がシーザーの攻撃を一切私に通さない。
こんなに薄いのに、ヒビも入る事なく、私の身を守ってくれる。殴り続けられる衝撃で鉄と鉄がぶつかり合う音と振動を感じるけど、一切ダメージがない。
「ちくしょう……なんだ、この盾は!!! オレのパンチが全然効かねえぞォ!!」
「うおらァッ!!! うおらァッ!!! シザー・バスター!!!」
シーザーが怒りに身を任せて、一発一発に精魂をこめて殴ってもその壁はびくともしない。たとえ尖った先端で殴られようがヒビ一つ入らせはしない。
「凄い……あんなに大きなハサミの衝撃がびくともしてない……!」
その強固さを見て遠くにいる歩美の声が聞こえる。壁の光も辺りの夕闇を照らしているため、薄暗くても分かりやすい。
「ぜェ……ぜェ……くそ……なんだこの盾は……こんな技持ってたなんて……思ってもなかった……」
私の壁を殴り続けていたシーザーはやがてぜェーぜェーと息を吐くほど疲れてしまった。今がチャンスだ。私はそこを突いて、両手に握られた剣を武器を手に攻める。
「お、おいッ!!!!!!」
制止するシーザーの顔からは先ほどまでの余裕は消え去っていた。
「ぐあっ!!!!!」
まずは一撃。左手の剣で右胸を突く。
「バ、バキャ野郎!! や、やめろってぐはァァァァッ!!!」
もう一撃。右手の剣で既に赤い傷がある左脇腹を更に突き刺した。
「ぐわっ!!!」
「ぎゃあっ!!!」
「のわあっ!!!」
「ぎぇええええええ!!!」
「うわああああああああああああああああああっ!!!」
「や、やめてくれよっ!! うわァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
合計八発。私がひたすら色んな箇所を攻撃する度にシーザーは後ずさりしてゆく。そして……最後の一発を食らったシーザー。
後ろの背中にあった木ごと、私は二つの剣で奴の腹を刺し貫いた。
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
悲鳴をあげるシーザーの体は血だらけだ。私が攻撃する事で出来た傷が広がり、着ているシャツやジーンズも赤色に染まる。
「ク、クソ……こんな、ド素人に負けるだなんて……」
私に木ごと刺し貫かれ、動けないシーザーが今にも死にそうな声で言った。
「歩美は返してもらうわ」
私は鋭い口調で返した。
「好きにしろ……お前の勝ちだ……くそっ、このオレが……お前……ごときに……ガクッ」
そう苦しみもがきながら言い残すとシーザーはその場で力尽きた。細長いハサミになっていた手がジワジワとしぼむように元の人間の手に戻っていく。それはまるで人間にされた化け物が、人間の姿に戻ったかのようだった。
一瞬、死んでしまったと思ったけど、死んでしまったわけではないみたい。
少し安心した。その証拠、普通の人間だったらもう死んじゃうだろうにまだ微かだけど息があるし、脈もあった。私はそれを確認した瞬間、大きく息をついた。
常識的に考えて恐ろしい。心臓だけでなく、内臓も危ないだろうに。コイツこそが俗に言う"化け物"なんじゃないかな。でも、しばらくは動けないはず。
私は木ごとシーザーを刺し貫いている剣を抜くと、ポタポタと先端から血が流れるそれを持ってそのまま歩美の所へ駆け走った。
シーザーは木の下で尻をつき、左右の足を大きく延ばして顔を下へ向け、動けなくなっている。
「零さん!!!!」
「歩美……! 今、縄解くから」
私は血まみれの二つの剣を近くに置いて歩美の腕と足を拘束していた縄を後ろから解いてあげた。
「零さん……! 良かった……大丈夫?」
「それはこっちのセリフよ、歩美……無事でよかった……」
歩美が私に抱きついてくると、私も歩美を抱きしめ、抱擁を交わす。その暖かい温もりが私を張り詰めた空気から一気に解放してくれる。
「傷、大丈夫?」
歩美は私を抱きしめながら訊いてきた。思えば、私は確かあいつのシザー・フルバスターで連続で殴られた。でも血は出ていない。ボロボロになっただけ。
もしも、さっきのような尖った巨大バサミで殴られていたら全身串刺しにされ、血だらけになっていただろう。いや、生きてるかどうかも分からないかも。
「大丈夫だよ……殴られたぐらいで切られてはいないから。それよりも、私はこんな傷よりも歩美を助けられた事が本当に嬉しい」
「歩美は私の……命の恩人で親友だから」
「零さん……ありがとう……凄いね、あんな怪人みたいな人を倒しちゃうって。ヒーローみたい。カッコよかったよ」
「そ、そうかな……でも、化け物じゃないよりはいいかな」
歩美の暖かい温もりが私の身体全体に伝わってくる。やがて、その抱擁をそっと互いに解き、向き合う。
「歩美、どうしてシーザーに捕まったの?」
「零さんの家に行く途中に、アイツが道が待ち伏せてて、何も出来ないままハサミを突きつけられて捕まっちゃった……ごめんね」
申し訳なさそうに困り笑顔を見せる歩美。
「ううん、いいの。私だって、歩美にはいつも助けられてばかりだから」
「ふふ……」
私が首を横に振ってそう言うと歩美は小さく笑う。
「でも本当に良かった。零さんが助けに来てくれたから。それにしても、零さんのその剣、血がついてて怖いけどそれがあったから勝てたんだよね」
歩美は近くに揃って置いてある二つの剣を見て言った。
「うん。まだ全然これについては分からない事ばかりだけど……」
私も置いてある剣の方に視線を向けた。その時、私の中で一番肝心な疑問が出た。それは武器の事よりも一番大事な事だった。
「ねえ、歩美……この場合、警察じゃなくてJGBに連絡した方がいいのかな? 一応、これって傷害事件って事になるんじゃあ……」
警察は普通に色んな事件を取り扱うけど、JGBは警察や自衛隊では対応出来ない事件を担当する組織。
とても警察があんな恐ろしいのを取り締まってるとは到底思えない。あのハサミも武器じゃなくて紛れもなく力だった。ピストルとかナイフのような武器とは違う。
この場合、警察じゃなくてJGBに通報する方が正しい……のかもしれない。小林の言い分と繋ぎあわせての私の勝手な推測だけど。
小林は化け物と言っていた。ソルジャーを。そして、その化け物から私達を守ってるのがJGBだと。
妄言とも思えない。妄言にしては出来すぎている。
「そうなるかもしれないけど、まずは近くの病院に連絡しよう」
歩美は強気な表情で提案してきた。
「でも、歩美、私……」
まさか逮捕? それとも粛清? 多少の不安が募る私だった。
立ち上がって歩美はスマートフォンを取り出した。私もその場で立ち上がる。すると歩美は気楽な表情で、人差し指を立てて、
「大丈夫、ちょっと汚いけど、零さんがやったんじゃなくて第一発見者って事にしちゃえばいいんだよ」
「えっ……」
「あのシーザーって人の言ってる事が本当だったら、ソルジャーって呼ばれる人達はまだまだたくさんいるんだよ。それで今のような戦いしてたら普通に考えて連日逮捕者が出て、新聞やニュースで大騒ぎになってると思うんだ、私は」
「でも……」
歩美に迷惑が……
「私を信じて。零さんは命がけで戦ってくれたんだから、今度は私が零さん助ける番だよ」
歩美は強気かつ私を鼓舞する表情で私の背中を押してくれる。確かに歩美の言ってる事は最もだ。
実際、警察との合同捜査でJGBの活躍の模様がテレビで報道される事があるけど、ソルジャーという単語自体はこれまで聞いた事もなかった。
オカルト系を取り扱うテレビのバラエティ番組で出てくる宇宙人、エイリアン、未確認生物と同じようにこの世には超能力者がいるとか、幽霊、妖怪、怪物が特定の場所に住み着いているって言われる事があるけどそれも所詮ただの噂レベルでそういう存在が本当にいると浸透しているわけじゃない。
だから、別に誤魔化しても問題ないんじゃないかと思う。もし、何かあっても正当防衛と言えば済むと思う。だけど歩美は……
「零さん、先に帰ってて。ここは私が引き受けるから!!」
「いいの?歩美は……」
「平気平気。通報するだけだから、気にしないで。すぐに家に向かうから」
「分かった……ありがと。歩美」
何も気にしない笑顔で歩美は私に先に行くよう促す。ここは歩美のご厚意に甘え、私はシーザーを倒すのに使った剣二つを手に取り、走ってその場から立ち去った。凶器を持った私がいては余計に厄介な事になる。
シーザーにはもう抵抗する体力も意識もない。放っておいても大丈夫だろう。
武器を二つとも重ねて右手に持ちながら私は来た道を戻る。公園から高台へと続く石の階段。人気もないし、空も暗くなってきた……でもこれを見られたらいくら何でもまずい。
不審人物以外の何物でもない。剣の刃と先端は血で赤く染まっている。抜いた直後、血がポタポタと先端から零れ落ちていたぐらいだ。
剣を回収した時に軽くハンカチで拭いたからポタポタと血が先端から落ちる事はないけど……
剣の扱いにどうしようか戸惑っていると二つの剣が突然、ほのかな銀色の光に包まれた。すると両手にあった武器は一瞬で私の手から光の塵となって消えてしまった。
「あっ……消えた……?」
どうしてだろう。先ほどまで、歩美の縄を解く時はそのまま形状を保っていたのに……
とりあえず、好都合だ。この事は後にして私は歩を進めた。どちらにしろ、私に力があるのなら、あの剣はまた出せるかもしれないから。
それにひとまず良かった……これで通行人とすれ違っても問題ない。
歩美を助けられたのは良かったけど、ソルジャーの事といい、自分の力といい、まだまだ私の知らない事ばかりだ……これからどうしようか……
少なくとも、今分かる事は三つ。
ここまでの情報量による推測もあるけど住んでるマンションへと一人、ゆっくりと歩きながら頭の中でまとめてみる。
一つ目は私はソルジャーになった事。私は銀色のソルジャーソウルを持つソルジャーになった。シーザーは自分のソウルをスプリンググリーンと言っていた。私から出た光は銀色、つまりあの光は私のソルジャーソウルであり、私は銀色のソルジャーソウルを持っているソルジャーという事になるのは確かだ。
小林が言っていた、世間の一部で化け物とか違う表現で呼ばれ、扱われている存在。これは間違いなく、ソルジャーだという認識で間違いないだろう。
二つ目、今の私には剣を出せる力がある事。
これはまだまだ分からない事が多い。今、さっき消えてしまったから。だけど、練習すれば出したりしまう事も簡単に出来ると思う。
シーザーが使っていたあの両手のハサミもシーザー自身が自在にコントロールしていた。ハサミの形状も丸い楕円の形から細長い物へと好きなタイミングで変化させていた。だから私にも何かをコントロール出来るものがあり、それがあの剣だと私は思う。
三つ目。この日本は表と裏の全くの表裏一体で形成されている事。表は私達が日々平和に暮らすありのままの日常。裏は非日常、それすなわち、ソルジャーの世界。
マスコミや報道機関、警察、自衛隊、政府は一切、ソルジャーの存在をなぜか世間に暴露していない。そういった事があるなら、私もとっくに前からソルジャーの存在は知っているし、小林だってその名称を隠さずに言う理由はないはずだ。
裏の世界は具体的にどんな世界かは見た事もないので知らないけど、裏ではシーザー曰く、バトルロイヤルとも称される恐ろしい殺し合いが行われていて、酷く荒んだ世界だと感じさせられる。
それで、裏の世界の住人、つまりソルジャーが歩美のようなソルジャーじゃない普通の人間に手をあげ、更に破壊活動を行う事で表と裏の世界が密接に関わり合う。
そんなソルジャーから治安を守っているのが、警察と並んでいるJGB、つまり日本国家保安委員会って事でいいのかな……
正直、シーザーみたいなのが何人もいたら本当に警察や自衛隊とかじゃどうにも出来ないと思う。『警察や自衛隊では手に負えない事件を担当する』というのはこういう事なのかもしれない。
でも、それだと政府もソルジャーの存在を知ってる事になる……だけど私達の間ではそれは浸透していない……マスコミもそれを報道していないし……一体全体どうなってるんだろうか……
私が銀髪になった後の小林の言動、JGBの存在、そしてシーザーの決して妄言ではない言葉の数々と非日常的な戦いに巻き込まれたのもあって、最初は何かの冗談とも薄々思っていたけど、小林達にいじめられ、自分の異変を感じていた私にはもはや冗談とか幻想で片づけられるものじゃない。
一つ目は全部理解した。自分がどうなったのかを。二つ目、三つ目は分からない事が多い。私の知らない事はこの二つに全部集約されていると言っていいのかもしれない。
とにかく、私はこれからこの二つを早いうちに全部知らないといけないのは確かと感じた。
でないと、後々、大変な事になりそうな気がする……今は分からない事も多いけど、この事を頭の隅に入れておこう……
今は、夜の静寂の中で自分がどうなったのかが分かっただけでも少しだけホッとした気持ちがこみ上げてくるのを感じた私だった。
既に日は落ちている。早く帰ろう……




