第40話
次回更新は10月20日です。
王様との話し合いの為に貴賓室に呼ばれてるんだ。ミア達も一緒です。別に気にしなくてもいいと副団長に言っていたんだが、空飛ぶ馬車は衝撃的だったらしい。
「ジーク。もう直ぐ陛下が来てくださる」
先に来た副団長が知らせに来た。王様忙しいのに悪いなぁ〜。俺は気にしないが。入り口の警備の騎士の声が聞こえてきた。王様が来たようだ。
「待たせたな、ジーク。馬車の話は副団長に聞いたぞ。本当にいいのか?」
出来た王様だな、普通だったら権力を使い国のいいように進めるはずだか、そうしない王様の誠意のある対応にこっちは気分はよくなる。それだから、俺もやりやすい。
「構わない、陛下にはよくしてもらっている。この国が平和であれば俺も平和な生活ができるんだ。協力させてもらうよ」
虎の威を借る狐の俺は狐だ。虎は虎のままでいてくれた方が都合が良い。所詮俺は一般人の意識が抜けない。前世の事もあるがどちらにしても普通が俺の標準装備だ。
「空飛ぶ馬車は作って貰えると聞いている。その功績は大きいが隠匿したままで構わないのか?」
面倒臭い事は勘弁だぜ王様。副団長に任せてる。
「副団長に任せてる。豪華な馬車を作り、他国に条件を付けて売るなり有利な事案を引き出せばいいと思うぞ」
「我としては助かるが、本当にそれでいいのか?」
「構わない。偶に作る馬車で陛下の役に立てるのであれば、文句など言うつもりもないです」
表にでるより平和な日常が1番尊いと俺は思ってる。だから、功績も名誉も爵位も要らないよ。
「分かった。君の希望を第一に考えさせてもらう。ところで、私の下の娘が礼を言いたい、と言っているが会って貰えるか?」
娘?ああ、寝込んでいた妹王女様かー!もう、終わったし報酬も決まった額を振り込んでくれた。過去の事だろう。正当な報酬を貰ったんだから会う必要は感じないぞ。
「正当な報酬を貰ったから気にしないでくれ」
王都の屋敷でゆっくりしたいから帰りたいんだよ。横を見ると緊張してる3人が居るんだからな。王様の前で固まっている。
「助けて頂きありがとうございます」
影から急に現れたのは美少女。物凄く可愛い子。お姫様とはこんな子を言うんだなぁ、と感心する位の美少女だった。
「お礼は君の義理のお兄さんになる人に言ってくれ。何でもするから譲ってくれと頼まれた。生半可な気持ちではできない」
そう、暴走騎士だったよ。吹き飛ばされそうな勢いだ。
「お兄様になる方にはお礼はいいました。でも、貴方がいなければ、お母様も私もお姉様も助かっていません」
真面目だな。お礼はしてもらった。後は気にしないでいい。
「気持ちだけもらっておくよ。それでは陛下、俺たちはこれで失礼します」
頭を下げて挨拶をし、ミア達を連れて部屋を出て行こうとした。
「待ってください!私を貴方の婚約者にしてください!」
「え?ええええーっ!嘘だろう!」
「「「……」」」
突然王女様に婚約者にしてくれと言われた!何を考えているんだ!ここは知らない振りだ。関わるとろくな事にならない。ミア達も口を開けて驚いてる。
「俺は何も聞かなかった、白昼夢を見たんだ!疲れているらしい。帰るよ副団長!」
「…あ、ああ」
陛下も呆然としている。副団長も何とか返事をしてくれた。驚いてるようだ。俺はそれだけ言うと、突然のセリフに驚いていたミア達を連れて部屋を後にした。きつい冗談は止めて欲しかったよ。何考えてるんだ妹王女様。王家の人間のする事はわからないよなあー!勘弁してくれ!