第37話
次回更新は9月29日です。早く王都に戻りたいのに進まなかった。次こそは!戻りたい。
大勢の人達に囲まれたが、副団長が応対してる間に脇に逃げさせてもらった。
「ふう、珍しいのは分かるが……凄ましい。これ程驚かれるとは!」
副団長には悪いが、俺は責任は持たないぞ。馬車を王家に献上するから後は任せる。それ位の我儘は通させてもらう。
「あの……子供達から聞きました。薬草の当てがあると」
お礼を副団長に言ってからこちらに親子がやって来た。子供達に聞いたな。俺の不利に成らない様に持っていくしかないか。また、土下座されても良い気持ちにはならないし、気分が悪くなる。
「事情次第では譲ってもいい。隣国1、2と言われた商会に何があったか知りたい」
苦悩に満ちた顔をされた。相当酷い目にあったのか?彼らが悪人でなければいいが、まあ、子供たちを見た感じでは悪人であるとは思えないが。
「人に聞かれたくは無いので、隅の方にいきませんか?アマンダ、子供達を頼む」
俺は子供達の父親に話を聞く為に隅の方に移動した。心配そうに見ているが、話を聴かせないほうがいいだろう。
「本当に薬草を知っていますか?あれば、どんな事をしてもお金は払います!譲ってください!」
本気だな、子供の俺に頭を下げた。いい父親なんだろう。
「本当に何でもするのか?二言はないか?俺は嘘を吐かれるのが1番嫌いだ」
頭を下げたまま、「ない!」と言い切った。真意など分からないが、嘘はないか。
「薬草は持っている。これだろう」
俺は薬草を父親に見せた。驚いた顔で薬草を見てる。そうだろうなぁ〜。商会の会頭なら、この薬草がどんな所にあった物か知っていたのかもな。
「……あ、それが手元にあるのは魔の森「内緒だ!」
父親の言葉を遮り内緒だと話した。頭の回転の早さも商人の特性か直ぐ押し黙った。
「商会を売った原因は禁制品か?それとも嵌められたのか?」
俺の問いに苦々しい顔をしながらも答えてくれる。
「貴族の預かり物だったのです。中身は知りませんでした。偶々、子供達が開けてそれが入っていた事を知りました」
やっぱり嵌められたか!他の商会の横やりか?どちらにしても乗っ取る為に仕組まれた可能性の方が大きい。
「やった奴に心当たりがあるんだろう?如何にかできなかったのか?」
表情を見る限り、心当たりがあるんだろう。ただ、やばかったから知らないふりをしたんだ。
「無理です。権力のある方でしたので、逆らう事は出来ませんでした」
苦々しい表情をしている、理不尽だが家族の為に押し黙ったのだろう。
「商会の乗っ取りか。見返してみないか?この国で」
能力のある人間を使えば、俺がやりたく無い部分をやってもらえる。この国で俺が資金を提供して、商会を立ち上げさせて色々やらせるのも面白そうだ。正直、面倒な雑務はやりたく無い。
「しかし、資金を私は持ちません。顔の知られてる私では、何かと都合の悪いことになるのでは?」
その辺は、知り合いに調べてもらうか。偉い知り合い(王様とか王女様とか)が沢山出来たことだし、副団長を通せば大抵の事は分かるだろう。
「その辺は、知り合いに何とかしてもらう。仕度金白金貨1枚で、準備をお願いしていいか?」
虎の威を借る狐で俺は構わない。要するに、被害がこちらに来なければいいだけだ。善良な経営で国に沢山の税金を納めて、win-winな関係でいればいいだけのことだろう。先祖の書いた、役に立ちそうなポーションを効能を薄くして売ればかなりの人が助かるだろうし、米も食べたい!可愛い衣装をミアやミケ達にもっと着せたい!夢が広がるな〜。金額を聞いて驚いてる兄弟の父親には悪いが、俺と知り合ったのが運の尽きと諦めてくれ。
「は?……ほ、本当ですか?」
「そのお金で立ち上げてくれ。そうだなぁ〜名前はデッカイ商会がいいな」
夢はでっかい方がいい、2度目の人生さ。好きに生きさせてもらう。せっかく魔法使いに成ったのだから色々やるのも人生の醍醐味だな!