第33話
なんとか書けました。次回更新は9月1日です。
改めて夕食を、下の食堂でとっている俺たちだ。部屋と周りが悲惨な成った後の片ずけを、有料でお願いしてる。その間に食事をとってる訳だ。あはは、おパンツ事件が有耶無耶になって俺としては助かった。
だが、騎士連中が、王女様を見ては赤くなり視線をそらす。その繰り返しに俺としては、どこの乙女だー!と言いたい。視線がうざいのだ。
「副団長、どうにかしてくれ。落ち着いて食事ができないぞ」
じと目で抗議するも、首を横に振って無駄だとしめす。俺と副団長、王女様にミケ達が同じテーブルだ。
「無理だ。さっきの出来事で、彼らに冷静に慣れと言っても無駄だ」
純情な男達に意識するな、と言ってもダメなのか?一応多分俺の予想の婿候補予備には、意識した方が王女様の為になるのか?微妙なところだな。とにかく疲れたので食べたら寝るか。
「俺はもう寝るよ」
「お兄ちゃん、寝るの?」
「明日から王都行きだ。よく寝て体調を整えた方がいいんだよ」
ゆっくり寝れるのも今日だけだしな。ミケ達も早く寝た方がいいぞ。
「私も寝る〜。お兄ちゃんと一緒」
一緒?俺は魔法使いになったが、ロリコンじゃないぞ。うれしいけど。
「ミケずるい〜!私も寝るよ〜」
シャムも一緒にかー!嬉しいが……早く育ってくれよ。
「ミケ、シャム、ジーク様の眠りの邪魔はしない様にしなさい」
ミアの指導が入ったー!ミアと俺は、小さい頃から一緒だった。何時も気持ちよく寝ていた。ミアの胸を枕にして、今では弾力もある最高級枕に成っている。
「「はーいミアお姉ちゃん」」
「いいなぁ、ミケちゃん達。1人じゃなくて皆と一緒、私も一緒にダメ?」
王女様が、羨ましそうにつぶやく。
「うーん?ダメなの〜。シャムお姉ちゃんとミアお姉ちゃんでいっぱいだから〜」
えーと、シャムお姉ちゃんが右がわで、ミアお姉ちゃんが左がわ、私がお兄ちゃんの上だから場所が残ってないよ〜。と小声で言っていたが、俺の上に寝るのかミケ?
「え?そう、ダメなのね」
残念そうに項垂れた王女様が言う。
「寂しいなら、そこにいる騎士さんと一緒に寝ると寂しくないよ」
シャムが、思い付きを王女様に言うと、王女様の顔がキラキラ輝いて来た。やばい!それはダメだ!副団長の顔が青ざめてくる。止める間もなく騎士の方に走って行くと、期待を込めて衝撃の一言を放った。
「私と、一緒に寝なさい!」
言われた騎士の息が一瞬止まった。その後、真っ赤になった騎士が鼻血にまみれた。今度は手で押さえるのが間に合って、周りに被害がなかったが王女様のあの姿を、思い出したらしいな。
「だめだよシルキーお姉ちゃん、もっと可愛らしく頼まないとダメなの〜」
返事をもらえなかった王女様に、ミケのツッコミが入った。優しく教えている。ミケは、昔親切だった遊郭のお姉ちゃんに教わったそうだ。女が生きて行く為には、色々できた方が長く生きられるよ。と言っていたそうだ。
「頼む時は、可愛くないといけないの?」
不思議そうに聞く王女様。割と何でも願いが叶うのと、あの家庭教師が尊大に振る舞う事だけしか教えてなさそうだ。
「そうだよ〜、見ててこうするの〜」
ミケとシャムが、揃って俺に向かってやりだした。前で手を組んで、上目遣いでうるうるさせながら、最後は首を傾げてお願いだ。
「「お兄ちゃん、寂しいの〜。一緒に寝ていい?」」
ぐふっ!効くな〜!可愛いぞ!前世でもよく周りが言っていたよな、可愛いは正義だと。
「分かったわ!ミケちゃん」
王女様が騎士の方に走って、もう一度挑戦した。
「私、寂しいの。一緒に寝ていい?お願い」
おや?同じ騎士に言いに行ったぞ。初めてのお願いか?鼻血を押さえて止めてる騎士が、言われた事に慌てて返事を間違えた。
「は?はいっ?」
返事を間違えた騎士は段々青ざめていった。そうだろうなぁ、仕える王女様と一夜を共にすると言ったからな。
「わーい!ミケちゃん、いいって言ったよー!今日から寂しくないよ」
寂しかったのか王女様、大きな声でミケ達に報告して嬉しそうに笑ってる。この際だ、王女様はあの男に押し付けよう。そこそこ性格もいいようだし、大丈夫だろう。考えをまとめると、こっそりと副団長に、耳打ちした。
「副団長、王女様はあの騎士に押し付けよう。性格も悪くなさそうだ。副団長も幸せ俺も助かる、王女様も幸せだ」
一石二鳥じゃなく、一石三鳥になるか?俺の意見に驚いた副団長だが、好きな相手が居て躊躇すると、自分の幸せが逃げていくぞ。
「……しかし、それでいいのだろうか?」
性格がいいからなぁ〜副団長。まあ、王女様の気持ちも聞いてみるか。
「王女様、聞きたい事がある」
「何ですか?師匠」
「どうして彼を選んだんだ?」
「1番優しく私の話を聞いてくれたの、一緒に寝るならこの人がいいと思ったよ師匠」
無意識に自分好みの人間を選んだんだな、この分だと大丈夫だな。隣の副団長も、納得できる理由を聞いて動き出せそうだ。
「良かったな。ずっと一緒にいてもらえば寂しくないぞ」
「うん!師匠!」
向こうのテーブルで俺の話を聞いた騎士が呆然としている。あはは、諦めろ。もう、逃げられないし俺も副団長も逃すつもりはない。皆の幸せの為、尊い犠牲になってくれ。思わず手を合わせて南無南無と唱えた。