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閑話ある冒険者達の不幸で幸運の始まり。

次回更新は8月4日です。

俺の名前はグラス。仲の良い4人の冒険者カップルだ。元々幼馴染で好きな相手を冒険に誘った。お金が貯まったら店でもやりたいと四人で話していた。だが、依頼を受けた仕事が偽りの情報で、凶暴な魔獣から俺をかばったチチアが酷い怪我を負った。醜い傷が胸に残った。乳房の半分が引きちぎられたのだ、それを気にして予定していた結婚を渋る様になった。


「そんな醜い傷の貴女なんて、彼嫌がるんじゃ無いの?別れれば?」


偶々通った時にチチアが酷い事を言われていた。あの女は前に絡まれていた時に助けた相手だ。恩を仇で返されるとは。チチアの傷は俺の為に付いた。傷を見るたびに後悔ばかりが込み上げてくる。


「貴女には関係ないわ!」


くそっ!泣きそうな悔しそうな、あんな顔をさせてしまった。勝ち誇った様な女の顔に反吐がでる。俯いた彼女の震える身体に我慢出来なかった俺は彼女を抱きしめた。


「最低な女だな。俺の女を侮辱するな!」


女が少し怯んだが、それでもまだ言ってくる。


「何よ、本当の事言っただけだわ」


真実じゃない!くそっ!お前に俺の気持ちが分かるか!好きな女を守れなかった男の気持ちが!


「本当?違う、この傷ごと彼女を愛してる。一生変わる事はない」


俺を見てチチアが微笑んでくれた。


「……グラス、ありがとう」


「……」


無言になった女が俺たちの前から走り去った。それから数日後薬草採取とラビー狩りに出かけた。ラビーの肉は美味しいので割と実入りの良い依頼だ。まさかCランクの魔獣に遭遇するとは思っていなかった。そこで、人生を変える出会いがあった。




「嘘だろ!C級の魔獣が出るとは聞いてないぞ!くそっ!」


ラインが驚いている。C級魔獣が出るとは情報ではなかった!前みたいに成るのは2度とごめんだ!


「ラインが悪いのよ!簡単だって言ったのに!」


チチアが怒ってる。それより魔獣を倒すのが先だ!


「喧嘩してる場合じゃない!チチア!魔法ぶっ放せ!」


俺が指示を出すとチチアが魔法を放った。


「やけくそよ!燃えちゃえファイアーボール!丸焼けよー!」


やけになったチチアが、魔力全開のファイアーボールを放ったが危なくミミルに当たるとこだった。


「チチア!こっちに打つなんて!魔力全開のファイアーボールなんて危ないじゃない!」


「ごめん!ミミル!えへへ、きゃあああーっ!こっちに来る!」


チチアに向かって魔獣が迫って来た。今度こそ守る!


「チッ!退け!俺が行く!」


チチアの魔法が、命中したのでだいぶ弱らせたがまだ油断できない!C級魔獣だ流石に強い。長期戦に成る前に、決着を付けなければ!


「助太刀する!任せろ!」


騎士だ!王都で見た事がある。あ!近衛騎士それも副団長だ!相当強い、魔獣を斬り伏せていく。魔法も使えるのか!凄い!


「ああ!頼む。助かる!」


部下らしい2人も魔獣を倒すのを手伝ってもらった。強い騎士3人が俺たちに加わり倒す事ができた。


「ありがとう!助かった」


この人貴族だったよな、丁寧に喋らないと不敬になる?助かったし、下手をしたら皆死んでいたかもしれない。しかし、何故近衛騎士副団長がこの場所に?


「無事で良かった。怪我は大丈夫か?」


「ありがとうございます。擦り傷です、騎士様のお陰で命拾いしました」


誰が乗ってるのだろう?近衛騎士副団長が護衛とは、偉い貴族でも乗っているのか?見ていたら馬車の方から少年が走って来た。


「怪我大丈夫か?ポーションならやるよ」


助かるが、いいんだろうか?


「え?良いんですか?助かります」


近衛騎士の護衛対象の1人か?何故か緊張するな。


「俺はジーク、運が良かったな。ほい、ポーション直ぐ飲むといい」


少年に言われる通り俺たちは運が良かった。投げられたポーションを飲ませてもらう事にした。自分達で倒せたとしても大怪我していただろう。


「ありがとう!ポーション貰ったよ飲もう」


チチアが喜んでる。在庫がなかったから助かる。


「助かる、ありがとう」


俺もお礼を言って飲んだ。少年もにこにこしている。


「良かった、持ってたポーション使ってしまってたから」


「感謝するぜ。俺たち本当に運が良かった」


「それじゃあ遠慮なく頂くか。ん?うわーっ!傷が消えた!」


傷が消えた?ラインが驚いて叫んでいる。


「え?…わ、わ、私の傷が、うわああああーん傷が消えた!消えたよ〜!」


傷が消えた?あんまり傷が深過ぎて消えないと言われた傷が!チチアが自分の傷を覗き込んで見て泣いている。


「ほ、ほ、ほ、本当に?」


信じられなくて聞いた。あの酷い傷が消えたのか?


「うん、うん、ひっく嬉しい!」


泣き笑いの表情のチチアに真実だと本当の事だと実感する。


「あっ、あっ、ありがとう!君のお陰だ!」


俺は少年にお礼を言った、見っともないが涙が止まらない。チチアを抱きしめた、これで幸せになれる。


「ジーク!そのポーション私にも分けてくれ!お願いだ」


騎士様も欲しがるくらい凄い物なかのか!高額レアポーションなのか!


「ぐっ!べ、ベ、別にいいよ。残ってるからそれより手……放してくれ!」


必死だ。少年が宙ぶらりんにされている。


「ありがとう!ジーク。これであの人を幸せにできる」


騎士様が泣いてるよ!どうしても助けたい人がいるんだろうな。


「ポーションの事だが、副団長にあげた分で最後だ!誰にも言わないでくれ。トラブルに巻き込まれたくない」


凄いポーションはもう無いらしい。恩人の頼みだし人に言うつもりも無い。いつか俺にできる事があったら少年に恩返しをしよう。


「ジーク、もう無いのか?」


「無い、だから内緒にしてくれ」


「冒険者のお兄さん達も内緒にしてくれ」


「分かった、恩人に迷惑はかけないよ」


「そうそう、感謝してるわ。これで2人が幸せになれるわ、本当にありがとう」


ミミアが俺たちを祝福してくれている。これで結婚できる。魔獣にあった時は不運だと思ったが、チチアの傷を治す事ができて幸運だった。少年が馬車に戻ると騎士様が話しかけてきた。


「運が良かったな。だが、ポーションの事は秘密だ。使った薬草が珍しいもので私は先ほど聞いて驚いた。秘密にする代わりに代金はいらないそうだ」


そうだろう、あれほどの傷を治せる物だ。肌までつるつるになって若返ったみたいになっている。


「恩人です。俺たち誰にも言いません!」


「約束は守る!」


「「言いません」」


皆、気持ちは一緒だ。裏切れるはずない。秘密は墓まで持っていくさ。倒した魔獣を俺たちは貰った。素材だけでも結構な大金になりそうだったが騎士達も少年もいら無いそうだ。王都に戻った俺たちは魔獣を売った資金で店の準備をしていた。トラブルに巻き込まれた俺たちがジーク少年にもう一度会い、店のオーナーになって貰うとは思っていなかった。あの出会いが俺たちに幸運を運んで来た。本当に俺たちは運が良かった。

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