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第27話

次回更新は来週の火曜日にします。

俺は今、強制的に乗せられた馬車の中だ。別がいいと主張したが却下された。理不尽だ。平民を王女様と一緒に乗せるとは拷問に近いぞ。王女様専用らしく豪華な物だ。だが、尻が痛い。王都に来る時は、途中から絨毯魔法を使った馬車だったので揺れがなく快適だった。

王女様の馬車と言えど普通のより少し良いだけで痛いのに変わりない。クッションは大量にあるが、そう何個も欲ばれない。前世の自動車ならシートの良いものに乗れば痛くはならないのに。くそっ!異世界馬車は何度乗っても猿尻になるよ。仕方ない隠れて裏技をつかうか!彼らに知られなければいい。


「もう少し行った所で休憩します」


助かった。もう少しで猿の尻になるところだった。先に皆が降りた後に絨毯魔法をクッションに書くぞ。


「先に降りてくれ少し横になってから降りる」


「慣れないのは仕方ない。ジーク、良くなったら降りて来たらいい」


副団長は話が分かるから助かるよ。


「お尻が痛いのか?私が治してあげるから見せて」


おい!引っ張るな痴女か!ジリジリ後退する俺、迫る王女様、馬車の隅まで追い込まれた。王族だから魔力が沢山あるのか?治癒魔法は魔力を使うぞ。だが!遠慮する。見ず知らずの女に見せる気はない!俺の尻を見たのはミアだけだ。


「馬鹿!触るな!俺は治癒は要らない」


治してやろうと言うが迷惑だ。見付からない様にスケボーで帰れば良かった。置いて俺だけ帰ろうかな。はーっ…疲れる。


「シルキー様、無理強いは良くありません。恩人のジークに益々嫌われますよ」


しゅんとなったが、強引な奴は男だろうと女だろうと嫌いだな。確固たる理由があれば別だが。やっぱり王女様と言うのは傍若無人な生き物なんだな。貴族やめて良かったよ、俺じゃ付き合いきれない、と言うか付き合いがやれる気がしない。副団長は偉いなぁ。


「そうなのか?……ジーク」


人のお尻を見ようとした割には、もじもじして言われても意味が分からない。


「そうだな、強引なのは好きに慣れない」


はっきり言っとかないと勘違いされそうだ。降りてもらえたので魔法陣を数個のクッションに刻みこんだ。これで俺の尻は守られた。しかしこの本は役に立つ物だな、先祖の貴重な本だと言うのは間違いなさそうだ。これに関してはあの兄弟の間抜けさに感謝だよ。普段は発動させなければ大丈夫だろう。キイワードで絨毯魔法が使える様にしてある。後は簡単に解除できる様に細工しておくか。知られるとやばそうだ。そう考えを纏めてから馬車を降りた。


「ジーク、もう大丈夫か?」


「大丈夫、ありがとう。副団長」


心遣いは完璧だな。この気遣いがオカンキャラになって様々な子守を任されてるんだな。騎士団長然り王女様然り、まだ調べたら出てきそうだな。


「ジーク!向こうに綺麗な花があった行こう!」


幾つだよ王女様。子供だと思って誘っているのか?だが、俺は行かない。他の騎士に頼んでくれ。


「まだ、動きたくないから別にいい。護衛の騎士を連れて行くといいよ」


正論かませば納得してもらえるか。それ以前に俺に構うのはやめてくれ。


「むーっ!ケチ!私は王女なのだ!もっと敬え!」


俺より年上の癖に子供っぽいぞ。それに口が悪いぞ王女様。だから、権力持ちは嫌いなんだ。俺の元父親と同じレベルなのか?強引で傲慢な。うわーっ!うざっ!周りの騎士達が気の毒そうに見てる。助けてくれよ!



「王女様は大人だよな。じゃ!1人で行けるよ」


にっこり笑って言った。俺はしらねー、大人の子守はしない留守番だ〜。


「むー!行くぞ!」


怒って護衛騎士を連れて行ったみたいだ。静かでいいね。草の上に寝転んで昼寝だ。


「きゃあああーっ!来るなー!」


「姫様、先にお逃げください!」


ん?騒がしい。目を覚ますと王女様と護衛騎士がウァオーウルフに追われていた。ウァオーウルフ前世動物で言えば狼の大型。群れで行動する厄介な魔獣だ。馬鹿やってるな、1匹傷付けたんだろうなぁー。鳴き声で仲間を呼ばれる前に殺さないといけないのにやり損ねたな。どこまでもアホな王女様だ。しょうがない、薄めた薬草を垂らすか?1〜2的垂らしたら鼻のいいウァオーウルフの事だ、すぐ逃げて行くだろう。


「シルキー様、お下がりください」


副団長がウァオーウルフに突っ込んで行くよ。勇気あるね。俺は無理だから、後方支援薬草散布を内緒で加勢しとくよ。


「1滴、2滴、良しこれで大丈夫だな」


2滴落とすと直ぐに、ウァオーウルフ達が顔を上げたと思ったら一声鳴くと全てのウァオーウルフが逃げて行った。皆には暴露てないか、助けるのに夢中で気付かれなかったのは良かった。もう少しで俺まで被害にあうとこだった。戦闘はまだそんなに強くない。準備をしてからなら勝ち目もあるだろうがいきなりでは精々魔獣避けの薬草を振り巻くぐらいだ。



「シルキー様、大丈夫ですか?怪我はありませんか?」


「……ない」


は?反省してるのか?旅の間中こんな調子でやられたら嫌になるが。副団長は優しいと思うが、このままだとまた同じ事になるぞ。怒らないと自分がしていけない事を認識しないぞ。身分が高いと叱るのも指摘するのも難しいか。だが、俺は遠慮しないぞ!これが原因で死んだりしたら馬鹿らしい。


「王女様、ここは王宮じぁない!気を付けないと死ぬぞ。俺を恩人だと思ってるのなら、これ以上迷惑をかけるな!」


少し強い口調で、王女様に言ったが後悔はしてない。しゅんとなったが、元々無理やり付いてきたのだ。最低限の事ぐらいは守ってもらう。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ウァオーウルフ 魔獣


群れで行動する。常に10匹〜20匹ぐらいで行動狩りをする。群れの半分は子育てに従事している。









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