表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/48

第20話

頼りになるな副団長に連れられて、豪華な部屋に案内された。落ち着かないなぁー。もと家より凄い!流石王城だと言う事か。


「ジーク、君に直ぐ会えるとは運がいい。呼びに行くところだった」


呼び?来るならともかく、呼びに来る?厄介ごとの匂いしかしないな。俺は静かに暮らしたいんだが。


「副団長、何の用ですか?お金は振り込んでくれる用になってた筈だ」


副団長を睨み付けた。嫌だと言う意思を見せておかないと、とんでもない方向に勘違いされる恐れがある。名誉も、有名になるのも望んでないからな。巻き込むのだけは絶対しないでくれ。暴走騎士にこれ以上付き合わせられるのは堪らない。薬を譲っただけでトラブルになるなら割に合わない。親切心が仇になる、と言われるがまさにそれだな。


「すまない、ジークには不本意な事は分かっているが、陛下が是非君にお礼が言いたいと」


お礼だと言うなら、そっとしてくれるのが1番なんだが。副団長達は命令されたか?

やはり偉い人は、空気を読めない奴らばかりなんだなぁ。貴族をやめて極力関わらないつもりが…はーっ。


「本当に頼む。姫も是非にと願われたのだ」


暴走騎士まで頼んできた。姫の婚約者だから当然なんだろうが、宿で騎士の噂を聞いていた。第1王女の婚約者で公爵家子息で第1近衛騎士団長だと。副団長は幼馴染みで学友兼ドラブル処理係伯爵子息だと認識されている。昔からかぁ暴走癖は気の毒に、と副団長に対して思った事は内緒だ。


「団長!簡易でも、契約は覚えていますよね。それを知った上での行動ですか?」


大きい声で団長に詰め寄った。話のできない人間なのか?契約を行使するぞ。


「違います!アルバートが悪いのではありません!」


バァン!とドアを乱暴に開けて入って来た美女が叫んだ。盗み聞きしてたのかよ。


「エリアル姫!お待ち下さいと、お願いいたしましたが」


副団長が姫様に険しい顔で咎めている。そうだよなぁ〜。簡易とは言え契約だ。下手なお願いで暴走騎士を不利に導きたくないだろう。


「ごめんなさい。どうしてもお礼が言いたいと思ったのですわ」


気持ちは分かるが、俺に言わせれば空気読めよ姫さん!自分の男の運命握られてるんだぞ。……まさか⁉︎似た者同士か?もしかして暴走姫!2人とも突撃癖がありそうだな。


「せめて彼に話を付けてからが良かったのですが」


副団長だけがまともだな。賢明な判断だ、これが無ければ契約に無茶を言ってるぞ。


「シブリールに、私のためにアルバートが無茶な契約を結んだと聞いて、じっとしてられなかったの」


涙を零す姫、見つめ合う2人、障害は俺。悪人の立ち位置にされているのか?


「……エリアル姫」


暴走騎士が感動してるよ。俺は今1人で王都に来てるんだぞ!見せつけるな!ああ〜早く帰って耳付き姉妹とミアに癒されたい。


「お礼は要らない、正規の薬の代金さえ貰えれば別にいい」


面倒くさくなってそう言い捨てた。別に感謝されたい訳じゃない。偶々知り合って死にそうだったから譲っただけだ。不愉快な思いをする為じゃないぞ!


「姫様に無礼な口を聞くとは許しません!平民の分際で感謝されて光栄に思いなさい」


姫さんのうしろに控えていた侍女が怒ってギャーギャー言ってる。分かるが空気は読んで欲しいよなぁ。一応恩人のはずだぞ。姫さんを助けた相手だと思ってないよなぁ。これがお礼だとは嫌になる。早く帰りたいが、まだ肝心の陛下は来ていない。副団長の説得の後にここに来るようになって居たはずだろうな。横を向いて外を見ながらため息だけが出てくる俺だった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ