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次の日、私は村長からの援助を止めてもらうことにした。
今までもらっていた分もこれから返していくと伝えた。
もともと生活には困っていなかったのだ。
このお金は私がサジャを育てる代金としてもらっていたものだった。
サジャは私の子で家族だから、もうお金はいりませんと言うと、村長は破顔して私の頭を撫でた。
懐かしくて暖かい感触にひどく照れてしまった。
家に戻ると学校が休みだったらしくサジャが帰ってきていた。
「おかえりなさい。チャニさん。どこかに言ってたの?」
おかえりなさいの言葉と大分敬語が抜けてきたことが嬉しい。
「ちょっと村長のところ」
私がサジャを引き取るにあたり、村長が仲立ちしたのを知っている少年は、目に見えて顔を強ばらせた。
その顔が悲しくて、安心させるように抱きしめる。
「これからの確認をしただけよ。サジャと一緒にいれるように」
少しの嘘をまぜて、伝えるとサジャは体の力を抜いてもたれかかってきた。
感じる信頼に誰よりも私がほっとする。
サジャは私の家族になったのだ。