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「はじめまして、ぼくの名前はサジャです。これからよろしくおねがいします」
この子どもが丁寧に頭を下げて挨拶したことに私は驚いた。
そこらの子より、私より、ずっと礼儀正しいではないか。
祖父母と上手くいかなかったと聞いて、わがまま坊主かもと思っていたが、認識を改めないといけない。
「私はチャニ。よろしく。おばさんって呼んだら怒るから」
「はい、えっとチャニさん」
「よろしい」
笑いかけると笑顔が返ってきた。
私がサジャと会ったのはたった一回、姉の結婚式でだけだった。
そのときの印象は父に似ていない赤茶の髪をしているな程度だ。
今よくよくサジャを見ればかわいらしい顔をしている。
うろおぼえの姉の旦那とは似ていないように思われた。
たぶん死んだらしい実母似なのだろう。
観察するとサジャの顔が赤くなった。
照れ屋なのか?
思っていたよりずっと好印象で私とサジャの生活は始まった。