14‐3
ショナは赤ちゃん背負って酒場で奮闘してくれていた。
サジャと平謝りする。
ショナは笑って手を振った。
「別にいーよー。久しぶりの酒場で楽しかったし。解決したなら良かった」
何があったかは聞いてこなかった。
ショナは優しい女性だ。
ごく自然に気を遣う。
私はショナをカウンターに座らせてミルクを出した。
「ありがとう。ね、私、本当にチャニがやっとリアンとくっついたかと思ったのよ」
「有り得ない」
きゃらきゃらと笑うショナに私は即答した。
「チャニさん、リアンさんって?」
サジャがいぶかしげな顔で聞いてくる。
「ただの幼なじみよ。ただの。だいたいね、ショナ。あいつは結婚しているでしょ」
相手は街に住む金持ちの美人な未亡人だったはずだ。
常連が噂していた。
「街の未亡人なら別れたって。旦那が直接聞いたらしいよ」
「またあ!?」
私は呆れかえった。
リアンが離婚したのは、これで三回目である。
しかも一つとして一年も保たない。
「バカすぎる!」
「本当にねー。いい加減、リアンも素直になればいいのに」
「あの、ショナさん、ちょっと」
ずっと難しい顔をしていたサジャがショナを呼んで、店の隅に向かった。
二人で内緒話を始める。
私には聞こえない。
「うん!頑張れサジャ君!」
ショナがいきおい良くサジャの肩を叩いて話は終わったようだった。
何の話だったのだろうか。
気になったが内緒っぽかったので聞かなかった。
ただサジャとショナは仲良くなったようで、二人で力強い握手を交わしていた。
くされ縁1ショナ。
くされ縁2リアン。