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勢いで飛び出してしまって、後悔する。
あれじゃ二人とも驚いただろう。
でもあの場にいたら泣いてしまいそうだったのだ。
わかってはいたのだけど、本人から言われるときついものがある。
隠れたところでうずくまった。
落ち着いたら帰ろう。
帰ったら、笑顔で変な行動を謝って、そうだ、ショナの赤ちゃんを撫でさせてもらおう。かわいかったし。
「チャニさん!」
「ぎゃあ!!!」
いきなり声をかけられて心臓がひっくり返る。
振り向いたらサジャがいた。
走ってきたのか、息がきれている。
「なんで、泣いて、」
慌てて顔を隠す。
「いや、違うのよサジャ。これは、そう、目に砂が入ったのよ!」
言い訳が苦し過ぎる。
案の定、サジャはごまかされなかった。
「・・・僕に言うのは嫌?」
悲しげな顔をする。
私は慌てた。
「違うわ、嫌とかじゃなくて」
なんて言えばいいのか。
親じゃないと言われて悲しかったと?
言ってサジャに本当のことじゃないかと言われてしまったら?
いやだ、と思うのに口は動く。
「私じゃ、だめ?」
「え?」
「私じゃ、サジャの親に、なれない?」
怖くて膝にある手が震える。
サジャは驚いた顔をした。
納得したように頷く。
そして、私の前にしゃがんで、両手で私の頭を包んだ。
「ごめんなさい、チャニさん。あれはそんな意味で言ったんじゃないよ。僕はチャニさんに引き取られてすごく良かったって思ってる」
「・・・本当に?」
「うん」
ほっとして私はサジャの小さな肩にもたれてみた。
「サジャ、私達は家族?」
「うん。とっても大事な家族。だからチャニさん泣かないで。チャニさんは笑ってるほうがいいよ」
サジャはたらしみたいなことを言う。
私は笑ってサジャに抱きついた。
ちょっとそのままでいたあと、二人で一緒に酒場に戻った。
恥ずかしくてもだもだします。