14‐1
私にはくされ縁が三人ほどいる。
一人は女、残り二人は男だ。
ちなみに全員既婚である。
幸せそうでなによりだ。
今日は村に隣接する森の森番に嫁いだショナがやってきた。
うまれたばかりの息子を背負って。
ショナは給仕しているサジャを見つけて叫んだ。
「この子、チャニの子!!?」
早足で私に詰め寄ってくる。
「チャニったら、いつ産んだのよ!教えてくれたっていいのに。森に住んでると情報が遅くて困るわー。ねね、父親は誰なの?やっぱりリアン?」
私が反論する間もなく、きびすを返す。
赤ちゃんと目があった。
ショナは今度はサジャに走り寄って彼の顔を両手ではさんだ。
「きゃー!かーわーいーいー!!んーでも、あんまりチャニに似てない?」
「・・・あ、当たり前です!」
状況を把握したらしいサジャが珍しく大声をあげた。
「僕はチャニさんの子どもじゃありません!!」
・・・あ、やばい。
泣きそう。
「ええ!そうなの!?なあんだー、チャニがついに結婚したのかと。・・・あれ、チャニ、外に何か用事?」
「店番、お願い」
「いいけど。なんでそんな変な顔して、チャ、チャニ!?チャニーー!?どこ行くのーー!?」
「チャニさん!?」
私は酒場を出て走り出した。
よわよわチャニさん。