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サジャは常連からサジャ坊と呼ばれてかわいがられている。
誰に対しても丁寧で優しく、素直なところがいいのだそうだ。
そうだろうそうだろう、と私は同意する。
自分が育てたからとはおこがまし過ぎて思えないが、サジャが誉められるととても嬉しい。
しかし、問題があった。
ここは酒場だ。
しかも昼は学校に行ってるサジャが給仕を手伝っているのは夜だ。
酔っ払いの会話は非常に下世話なのだ。
はっきり言うと下ネタである。
かわいがられてる分、サジャは酒場の残念な大人達にいろいろ吹き込まれているようだった。
曖昧なのは内容をはっきりとは知らないからだ。
サジャは頭が良い子なので、その関係でわからないことがあっても私にピーーってなあに?なんて無邪気に聞いて困らせたりしない。
私や姉は母によくやったなあ、と遠い目になる。
今日も常連はサジャ坊、と呼びながら小声で(私の耳に入れば怒鳴り込まれるのを知ってるので)何かしら教えている。
顔を真っ赤にさせるサジャを見ながら、こうやって余計な知識を持つんだよなあ、昔の私みたいに・・・としみじみ思った。
そして将来のサジャの恋人に合掌した。
こんなわけでサジャは早熟です。