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酒場を経営していると、たちの悪い客に毎日一人や二人は会うものだ。


大体は通りすがりの旅人や街からなんとなくやってきた新顔とかなのだが、たまに常連が悪酔いすることもある。


今回は前者だった。


しつこく絡んでくる新顔の客をいなしたら、そいつは給仕をしていた幼いサジャに目をつけた。


わざとサジャをこけさせて笑いやがった馬鹿を、私は蹴り飛ばした。


まわりからはひゅー!と歓声があがる。


私が言うのもなんなのだが止めないのか年長者達よ。


相手が逆ギレして暴言を吐いたものだから、私もキレてしまった。

言っちゃいけないことってあるよね。


更に数回、蹴っ飛ばしてやるとサジャからストップが入った。


「チャニさん、僕、大丈夫だから」


いじらしいなあと思うのだが、なぜか目が合わない。


馬鹿を追い出して、またサジャの顔をのぞきこむのだが、やはり目が合わない。


ついにごめんなさい、と言ってサジャは部屋に駆け込んでいってしまった。


「え、き、嫌われた?もしかして私、サジャに嫌われたの?流石に暴力的すぎた?」


人目も気にせずあわあわと騒ぎ立てると、見守っていた常連に、あいつも男だったってことさ、と言われた。

女に守られちゃあな、とも言われた。


一番年嵩の老人が、明日になりゃ元に戻るだろう、と言ったのを合図に皆、家に帰った。


半信半疑な私は酒場を片付けたあと、サジャの部屋に突撃する勇気もなく、眠れないまま朝をむかえた。


「昨日はごめんなさい、チャニさん」

「いや、良いってことよー」


若干眠い私はサジャの謝罪に間延びした口調で答える。


実は話しかけてくれたことに内心、小躍りしてたりする。


亀の甲より年の功だね。


サジャが言うに、自分のせいで私が馬鹿に喧嘩を仕掛ける事態になってしまい申し訳なかったのだと。


私は呆れた。


「悪いのはあの馬鹿よ。サジャが気にすることじゃないわ。元々ムカついてたしね。私のかわいい子をころばしやがって、もっと蹴ってやれば良かった!」


怒りを思い出していると、サジャはかわいい?と首を傾げた。


わかってないようだったので、かわいい、とサジャを示せば、彼はショックを受けたような顔になった。


「僕、絶対にチャニさんより強くなる・・・!」

「うん、頑張れー」


なんだか決意したらしいサジャの頭を撫でたら困った顔をされてしまった。


あれ、なんか間違えた?





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