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死んだ姉の息子をおしつけられた。
わざわざ山向こうの村から、姉の旦那の連れ子のため私とは血がつながってないにも関わらずだ。
父親は妻が死んですぐ蒸発したらしい。
遠くの街で愛人とよろしくやっていると噂を聞いた。ふざけんな。
あっちの祖父母に引き取ってもらえよと思ったのだが、どうやら馬が合わなかったので、私にお鉢がまわってきたそうな。
年寄りは孫をかわいがるものだと思っていたのだが。
正直、勘弁してほしいと思う。
私は子どもが苦手だ。
人のコンプレックスを悪気なく抉ってくるところとかが特に。
大人げないと言われようが無理なのだ。
しかし、両親が既に亡くなっており、村の唯一の酒場を受け継いで、困窮することもなく気ままな一人暮らしを行っていた私は都合が良いと思われたようで。
山向こうの村と私の住む村の二人の村長に土下座の勢いで頼み込まれた。
下手に断ると角が立つではないか。
援助は惜しまないということで、義理の甥っ子を引き取った。
二十の身空で六歳の子持ちである。
これは結婚が遠のいたな。
まあそれは別にどうでもいい話だが。