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蛍か無邪気か
何も見えない。
目を閉じてるのか開いてるのかさえわからなくなる。
ほんの数秒だったはずだが、
とても長く感じられ、
生きた心地がしなかった。
そんな俺の前に
奴は立っていた、
燃えた紙を手に。
燃えて散り散りになった紙は
赤い蛍のように
目の前を舞い、ぽつりぽつりと
地面で消える。
「変換魔法、って知らないよな?」
状況の読み込めない俺を
気にせず、奴は続けた、
「小学生の頃にさ、
気づいたんだよ。
俺は光を熱に変えられる
ってことに。
調べたら変換魔法って
いうらしいんだけど。」
無邪気に話すこいつには
警戒心や人を騙す気は
感じられなかった。
けど話が見えない、
これは何の話だ?
そんな様子を察したのか
「あ、ごめん。
いきなりだったな、
俺の名前はコウ。
同じクラスなんだから
覚えてるよな?」
あんま話したことない。
けど、まあ、名前は知ってる。
「んで、本題なんだけどさ
お前のそれも
変換魔法なんじゃないか
と思って。」