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焦げ目か消しカスか
ジュウウゥ・・・・・・。
テスト用紙に淡く浮かび上がった黒の模様、
まるで消しカスのようだな。
僕がこれをするのはいつも
だいたい手を尽くし、
ぼーっとしているときだ。
つまり今日のテストも
もう手詰まり。
時間は半分も残っているというのに、
我ながら情けない。
鐘が鳴るまでの30分、
僕はこのいびつな焦げを眺めて過ごした。
この習慣は
小学生のときからだったはず。気づくと、紙に焦げをつけることが出来ていた。
意識すれば火をつけることも
できるのだろうが、
黒い焦げに赤い火種が
ちらつく前にいつも止める。
火がついてしまったら
自分は普通じゃない、と
認めざるを得なくなるからな。
今日の日程も全てこなし、
生徒たちは廊下を、階段を、
玄関の方へ流れていく。
いつもなら僕もその中に
吸い込まれていくはずだった。