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番外編 だれも知らない1

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 リナ…リュウとエドアルドの娘 6歳

 レイ…アルフレッド王が没した後に誕生した第4王子 16歳(エドアルドの弟)   


「リナ」


 ゴーシュのところに駆け出そうとしたリナの手くびをつかまれた。

 細くて白い手。

 その手のひらは冷たくて、リナの熱がそこから相手に移ってしまいそう。


「いたいよ。レイ」


 時々、エドが連れていってくれる人の世界に出来た数少ない友達がゴーシュだ。

 朴訥とした少年で、鍛冶屋の息子だ。

 エドの剣を直すときに、暇だったリナが見つけた。

 榛色の瞳がリナを見ると柔らかく細まる。

 

「だれのところに行くの?」


 10も年上のレイは、エドの一番下の弟だ。

 すごく綺麗な銀色の髪と、紫色の瞳を持っている。

 エドのお母さんにそっくりだと言われている。


「ゴーシュのところ」


 エドには許可を貰った。

 唯一、ぜったいに翼は見せたらだめだよという約束だけを交わして。


「ぼくもついて行く」


「なんで?」


 レイはリナを一人前だと思っていないのだろうか。

 もう、リナは6歳になった。

 みんなには内緒だけど、鳥を落とすことはわけなくできる。

 森のオオカミたちと一緒に走ることもできる。

 いざとなれば(しないけど)空を飛んで行くこともできる。


 森に住んでいたときに、リュウから散々、人の世界では、6歳というのはまだまだ子供扱いされると聞いたけれど本当だったみたいだ。


「リナは女の子だから、心配なんだ」


 うーん、と思う。

 リナは確かに女の子だ。

 エドを時々打ち負かしてしまうくらい、ちょっとやんちゃな女の子だ。


 だけど、自分は、他の女の子ほどに魅力はない。

 真っ黒な髪も、瞳も。

 まるで闇みたいな存在。


 放っておいてくれても平気なのに。


「離して」


「い・や・だ」


 一語一語切るように言われて、逆に力を込められた。

 

「じゃあ、もう勝手にして」


「ありがとう」



 にっこりと満足そうに笑みを浮かべられ、レイは自然な仕草でリナの頬にくちづけた。

 それは、まるで絵本に出てくるような王子様そのものの姿。



 だけど、リナはその過保護すぎるレイに辟易した顔を向けたのだった。


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