小話 「最近、痛みが変わって快感になってきたんだよなー」なんて誰が言うか BY 男に二言なし
本編とは雰囲気が違います。
ご注意下さい。
柔らかい唇がエドアルドの唇に触れて、口づけを交わす。
(苦節5年。出会ってから、手も握らせてもらえず、一人で色々することの多かったわたしにもようやく春が…感涙!)
触れさせるだけでは足りなくなって、エドアルドは少し強引に薄い唇の隙間をこじ開けて、舌を絡める。
歯の裏を舐めて、零れ落ちる唾液を舐めとって。
ゾクゾクとエドアルドの身の内を駆け抜ける歓喜。
「リュウ」
リュウ。リュウが欲しい。
感極まって、思わず抱きしめようとして。
「ダメ」
すばやくそれを拒むようにリュウの闇の手が伸びてきて、動きを止められた。
手のひらが、バチリと火花をあげて、「ッチ」。思わず、声をあげてしまう。
そして、痛みに手を放した。
「キスだけだって言った」
かすかに涙目になってこちらを見るリュウ。
なんて可愛いんだ。
「言いました」
「約束だよな」
「はい」
頭を垂れてしょんぼりする姿は大型犬のよう。
「ごめん。とっさに加減が出来なかった。痛かったか?」
ああ。それは反則。
上目遣いで(ぐっ。かわいい)リュウがエドアルドを見上げる。
ついさきほどまでさんざん啄んでいた唇が、擦れてほんのりピンクに染まっている。
「うーん。それほどでも。最近、痛みが変わって快感になってきたような」(← あ゛れ?)
…。
リュウがとたんに ハッ!としたようにエドアルドを見た。
「ど、どうした?」
こんな目をするときは、大抵、ろくでもないことを考えているとき。
「あんたは…変態だと思っていたが、実はMだったのか」
ウゥッ。
しばらくエドアルドは立ち直れなかったという。