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投獄

久しぶりの更新です。短くてすみません。




 ピチョンと雫が一滴落ちて跳ね、つま先に当たってはじけた。


 

 かたーんかたーんと石を木靴を踏み鳴らす音が聞こえ、やがて。

 カタン、と食べ物の差し出し口の上に開いた小窓が開いた。

 かすかな光が漏れてくる。


 エドアルドはまぶしさに目を細め、窓から顔を背けた。


 捕まってから、1日か…いや3日か?何日経ったのか。

 真っ暗な空間では時間がわからない。

 食事も日に一度であるような二度であるような…時間感覚を狂わすために、わざとずらしているようなふりもある。


「エドアルドか」


 眩しいのは日差しのせいではなく掲げられた松明の炎のせいだ。

 日のまぶしさとは違い、すぐに慣れてエドアルドは窓に目を向けた。


 紫色の瞳がこちらを覗いていた。

 今日は、眼帯をしている。

 覗くのは一つ目だけ。


 エドアルドと視線が絡むと紫のその瞳は薄く細まった。

「今までどこに逃げていた」


 エドアルドが捕まって、城に引き立てられた後、王に目通り叶うこともなく、すぐさま牢獄に入れられた。

 天井から吊るされた金具に手首を固定され思う存分鞭打たれた。


 どこにいたのか。

 

 どうやって生き延びていたのか。


 そして、なぜ戻ってきたのか。



 だが、捕まってから口を閉ざしたままのエドアルドはうめき声一つあげず、沈黙だけを保っていた。 



「王を弑するのがどれほど罪深いか知っているだろう」




 自分の手で下したくせに。

 クククと可笑しそうに喉を鳴らす男。


 縊り殺せるものあらば、この場で即座にそうしてやりたい。


「にらんでもむだだ。王が下知を出された」


 ギリと唇を噛み締める。 


「お前の公開処刑は3日後に決まった。フレッド王も、大変、お前のしでかした大罪に失望されておられる。実にお慰めするのが大変だ」


「プッ」


 返事の代わりにつばを男に向かって吐いたが、むなしく扉の縁に当たっただけだった。


「王族のおまえの処刑には、特別に、王も立ち会われることにされている。くれぐれも無様な真似はしないように」


 それだけを言い捨てると、窓は再び閉じられた。


 再び沈黙と暗闇がエドアルドを訪れた。




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