『白熱舌戦』
蛍光灯が眩しく照らす事務所。
晶子と忠勝の間に、荒い呼吸と滲む汗。
互いの瞳には譲れない信念がぶつかり合い、感情のマグマが音を立てて沸き立っている。
議論は白熱し、二人の鼻先は今にも触れそうな距離に。だが、当人たちはその近さに気づくことなく、自らの正義をぶつけ合う。一瞬の呼吸の乱れすら許されない緊張の中、情熱を込めた声が空間を震わせる
忠勝: 「いいですか、晶子さん! 私は、この計画の費用対効果を問題にしているんです! あなたの理想論だけでは、決して事業は成り立ちません!‥‥ッ!?」
議論が白熱するあまり互いの唇が一瞬、柔らかく触れ合った。だがその瞬間さえも、二人の勢いを止めるには足りない。情熱は途切れず、衝突はさらに加速する。
晶子: 「費用対効果ですって? (ムニュ)そればかりを言うから、あなたの発想はいつも貧弱なんです!(チュッ) この計画は、数字では測れない未来の可能性を秘めている! そのビジョンが見えない(チュパッ)んですか!?」
忠勝: 「貧弱だと!? (ヌプッ)それは、現実を見ようとしないあなたの傲慢だ! 数字を無視すれば、私たちは破滅する!(ムチュッ) その責任、あなたが取れるとでも!?」
晶子: 「傲慢なのはあなたのほうよ!(ムフッ) あなたはいつもそうやって、人の心、情熱、そして勇気を、たかが紙切れの数字でねじ伏せようとする!(チュルッ) この計画の真の価値が、あなたには本当に理解できないの!?」
忠勝: 「理解できないのは、あなたの甘さだ! (ムニュムニュ)無責任な理想論で、他者を巻き込むことの愚かさがなぜわからない!(ペチャッ) 私が言っているのは、あなたのためでもあるんだ! 目を覚ませ!」
晶子: 「目を覚ますのは、あなたのほうよ!(ムニュン) 私は、諦めないから!(チュプッ) 例え、誰が何と言おうと、私はこの計画に、自分の全てを賭ける!(ヌメッ) そして、あなたにも、その責任の一端があることを忘れないでよ!(チュッ)」
忠勝: 「責任だと!?(ムフッ) その言葉の重みを本当に分かっているのか!?(チュルチュルッ) あなたのその思いつきで、どれだけの人間が路頭に迷うか、想像してみろ!(ムギュッ) 私がそれを許すとでも思っているのか!?(ペチュッ)」
晶子: 「路頭に迷うのは、あなたが何もしないからよ!(ムニュッ) リスクを恐れてばかりで、何もしないのが一番のリスクだ!(チュパチュパッ) 私たちは、立ち止まっている暇なんかないのよ!(ムギュムギュッ) もう、邪魔させない!(チュッ)」
忠勝: 「邪魔さ――むぐっ! (チュパァ...!) なにを、っ…! (ムニュ、ムフッ) ちょ、おま…っ、この…っ! (チュルチュル、ゾクッ) んぁっ…、やめ…んぁ…っ、 んぅうぅ……っ!! 」
ガチャリ。
ドアが開き、同僚の亜美が何気なく部屋に入ってきた。
亜美: 「お疲れ様でーす。さっきの資料のことで…って……え?」
ジェミニは目の前の光景に凍りつく。至近距離で絡み合い、熱に浮かされている晶子と忠勝。数秒の思考停止の後、亜美の顔からサッと血の気が引いた。
亜美: 「え、ちょ、ええええ!?きゃー! ストップ、ストップ、ストーップ!! いったん離れましょ、ね!? タイム、タイムです!!」
亜美は必死に二人の間に割って入る。 熱い熱を帯びた2匹の獣だったが、亜美の真剣で心配そうな表情を見て、ようやくハッと我に返った。
亜美: 「ちょ、二人とも、落ち着いてくださ――むぐっ!(チュパッ!)」
だがそれは獣の前に新たな肉を差し出すことと同義だった。
亜美: 「な、なんで私まで…っ!? だ、だめです、ほんとに…!(チュルッ!ムニュッ!)あ、あぁっ…、なんか、頭が、ふわふわ…(ゾクンッ)…や、やめて……んぁ…、んんぅううう……っ」いやっ!耳は…だめっ…!あ、首筋も…んっ!(チュルッ、ゾクゾクッ)な、何なのこの人たち…あ、あぁ…もう…だめぇん……(ムニュムニュ)」
社内は今日も平和だった。