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朝ドラ「虎に翼」から受け取ったバトン

作者: 古井重箱

 このドラマを観れば、法律に詳しくなれるかしら? あわよくば小説に活かせるヒントをもらえるかも。

 そんな下心から視聴した「虎に翼」でしたが、主人公・寅ちゃんをはじめとするキャラクターに魅了され、最終回は涙、涙、涙でした。不惑オーバーの私のどこにそんな柔らかな感受性が残っていたんだと、われながら驚きであります。

「虎に翼」は食べ物にたとえれば、全粒粉のパンのような作品でした。すなわち、ずっしりと歯応えがあって、咀嚼するのに時間がかかる。でも、滋養があり、自分の血肉になってくれる感じがする。そんなドラマでした。

 視聴前は法律は遠いものという印象でしたが、今は違います。法律とは私にとって、自分を守ってくれる盾みたいだなって思います。私は無力な女ですが、おかげさまで穏やかな日常を送ることができております。


 ただ、「虎に翼」から受け取ったバトンについて考えずにはいられません。

 身のまわりが平穏ならばそれでいいのか?

 有権者として、もっと学ぶべきこと、行動すべきことがあるのではないか?

 ただ流されるだけの雨垂れにはなりたくない。是と思うこと、非と思うことは意見を表明していきたい。

 そんな問いと決意を抱いております。

 人がフィクションに求める要素はさまざまです。日々の労苦への慰撫であったり、自己理解を深めるきっかけであったり、友人とのコミュニケーション・ツールであったり。

 私は「虎に翼」の大ファンですが、ファナティックに「観ろ! そして考えろ! 行動しろ!」とは申しません。観るも観ないもみなさまの自由です。


 いちBL小説書きとしては、轟さんから受け取ったバトンについても触れないわけにはいきません。轟さんは寅ちゃんの学友で、同性のパートナーがいるキャラクターなのですが、好人物でねえ。人間とはかくありたいと思いました。

 私は個人的なファンタジーの所産としてBL小説を書いておりますが、同性愛の当事者の方を消費しているだけではないか? マジョリティである異性愛者としてのうのうと生きていながらBLを楽しんでいるのは外道の所業なのではないか? そんな葛藤が今、胸中にあります。


 重いです、「虎に翼」から受け取ったバトン。

 でも、投げ出したくはないです。「観なかったこと」にはしたくないです。私はこの社会に参加したい。そのためには、背負うべきものがある。そう思います。

 浅学非才の私の翼は、紙飛行機のように脆弱です。大志を抱いたとして、果たしてどこまで飛べることやら。BL小説を書くという業からも一生逃れられないでしょう。

 でも、先に進んでいきます。過去をかかえ、未来をまなざし、今を生きることを選びます。

 ありがとう、「虎に翼」。寅ちゃんたちに出会えてよかった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「虎に翼」、私も見ておりました。味のある登場人物たちがとても好きですが、中でも轟さんは本当に素晴らしかったと思います。  自分が男らしさだと思っていたものは、実は性別とは何の関係もなかったの…
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