無能の賢者、限界を突破しない。
前回 新天地送られた俺は、そこで魔道具の賢者に、限界を超える力を引き出す、リングを授かる。はたして…
「お前が無能の賢者か、俺は見の賢者、よろしく」
見の賢者、弓使いの男、ジョブほレンジャー、能力は単純に遠くを視認する能力、建物内部でも見えるが、暗かったり、全ての扉が閉められていたり、明るくても、入るルートがない密室状態の中は見れない。
「見の賢者…二つ名にケンのケンと続くところから、ケンケンと呼ばれていた!よろしくケンケン!」
「ちゃうわ無能!二つ名を略すな!」
「俺は機知の賢者、よろしく」
機知の賢者、占い師の女、何かが起こる機を察知できる。おもな仕事は、覚醒者の発見である。
「宝クジは無理なん?」
「うん予言じゃなくて察知だから」
「占い師なのに?」
二人は、役に立つには立つが、便利なようで、なんか微妙だった賢者たちである。
「ともかく、ようこそ無能、ここはフロントライン最大の閑職地、奈落のダンジョンだ!!」
魔道具の賢者が付け加える。
「ヘカトンケイルの攻略で、最前線でもなくなった。」
「うぐつ!」
二人に刺さった。
ここのダンジョンは、最深部に住むネクロマンサーを倒して、復活を阻害しない限り、定期的にアンデットが出てくる。
この二人の賢者は、必要なとき以外は、名前だけ仰々しいダンジョンのお守り役として、知の賢者にダンジョンの前に野営させられているのである!!
機知の賢者が気配を察知した。
「ちょうど3体ほど出てくる。」
「ちょっと見てみるか…スケルトンだな2体は俺がやるから、後一体を相手してみてくれ」
入り口には、まだ姿が見えていないが、弓を構え2射だけ行うと、ダンジョンのなかに矢が消えていった。
「さっ、残りが出てきたら頼む」
魔道具の賢者が、ある腕輪を渡してきた。
「これは、力を限界以上に引き出せるリング『すっげぇぇ!パワー出るけど君!』だよ」
「出るけどなんだよ!?」
首を振りながら、無言で肩に手を置いてきた。
「無能でも学校で剣術はやってるだろう?」
「当たり前だ魔具!」
愛用の短刀を取り出した。
「なんで短刀なんだよ」
理由は、普通の片手剣は、重くて扱えなかったから!!
「おい!出てくるぞ!」
完全に素手で、何の防具もつけていないスケルトンが出てきた。
リングを利き手に装備すると、一瞬光を放った。
「これは確かに…」
今までより力を感じる!本当に俺なのか!?
「これで君の力は通常の1.5倍だよ!!」
全力を込めてスケルトンに渾身の技を放った。
「くらえ!八連突き!!」
スカスカスカスカスカスカスカスカッ!
「うわおっそ…」
機知の賢者も驚く遅さで、骨の隙間に器用に入った。
次の瞬間、全身に激痛が走り、立っていられなくなった。
「何これイタ―イ!!」
「僕の『すっげぇぇ!パワー出るけど君!』は、限界を超えた力を引き出すことによって!全身の筋肉がすぐに終わってしまうのが難点なんだ!!」
その間に、見の賢者が矢で仕留めた。
「なんだコイツ…」
呆然と見下ろす機知の賢者、すごい勢いで、のたうちまわっている無能。
「治癒の賢者ほどじゃないけど、回復ポーションだよ」
無能にぶっかける。
「は〜痛み引いた。」
スケルトンはちりになって、ダンジョンに吸い込まれた。
「とりあえず、テント入れ。」
この野営地周辺には、もともと、モンスター、特にアンデッドが多く、その原因が長らくわかっていなかった。
しかし、知の賢者がこの地に来たとき、『経験値の入りが悪いの…場所によって違うの』と言って、ダンジョンが原因だと判明した。
そしてダンジョン攻略が始まったが…
「罠が多くて、最深部に行けてないんだ」
「僕も来たことあるけど、奥に潜ると、罠の位置が、定期的に変わったりするんだ」
場所がダンジョンだけに、崩落の危険が高く、力の賢者を初め、高火力の賢者達は投入出来ない。罠が変わるのは約一ヶ月、今日か明日が変わる日で、この一月で攻略をするのが理想、一般兵では、罠による死亡者がかさみ過ぎるので、死亡リスクのほぼ無い。
「俺の投入なのかよ」
絶望しかない。
これから、あらゆる罠を喰らいながら死んでゆくんだ…
「このダンジョンは推定10階層、人が入ったのはせいぜい3階層だが、この見の力で、8階までマッピング済み、そこの門を開けるのを第一目標にしよう。」
やり方は簡単、機知の賢者で、罠の場所を推測、 そのあたりの罠が変化する範囲を、魔道具の賢者と一般兵達で、全部作り変えるというものだった。
「物資は用意してあるから問題ないよ」
まあ、死ねばそれだけ遅れるだろうから、できる限りの死なない努力はしてくれるだろうが…一つ疑問がある。
「なんでネクロマンサーがいるってわかった?」
「さっき、スケルトンの死体が、塵になってダンジョンに吸い込まれたろ?」
経験値が賢者に入らないと言うことは、それがどこかに戻って、再利用されていると言うことで、アンデッドばかりと言うことは、ネクロマンサー、もしくは召喚や復活の魔法陣がある。
「じゃあ賢者が死んで、どっかに集められて蘇生するのが蘇生の間か…」
「君が移動で案外時間を食うから、出来るだけ死なないようにするよ」
「じゃあさ、賢者が死んだとき、身につけてるモノに、その再利用分を吸わせたら、その場で復活なん?」
魔道具の賢者は、鼻で笑った。
「フッ、再投入時間が一時間だったら、敵地にその状態で一時間だよ?危なくない?」
「俺、一瞬だけど?」
「………そうじゃん!一瞬じゃん!あるよある!その場で復活できるの!!知の賢者に『ゴミなの』って言われたのがある!!」
他の賢者も湧き立つ!!
「コレで攻略が早くなる!」
「やっとここから離れられるんですね!?」
「僕!『10人でポケットティッシュ一つと思うの』って言われたけど!無限じゃん!」
「ああ!ポケットティッシュじゃねぇ!ハコティッシュ!しかも300枚組のケース買いだぁぁぁぁ!!」
「あばばばば…」
まずい事に…ポケットティッシュからハコティッシュって良くなっているようで最悪だ…
己の無能により、無能、死にまくり確定。
次回の無能の賢者がまかり通るわ?
どうも機知の賢者です。
鑑定眼鏡で見てたんだけど、あのリングが、一般の6〜8割の無能の力を倍増させても、全体平均が一般人くらいなんだよねw
自分の限界を超えて一般人なみとは…
さ〜て、お話は!
うっかり死ぬ
間に合わず死ぬ
とりあえず死ぬ!
っの三本です。
せ〜の!最初はグ〜〜…ジャン!ケン!……
「お前は次にチョキを出す!」
パ〜〜〜〜〜!!ンガクック!