無能の賢者、作戦を理解しない。
前回 無能の二つ名を授かったクロイツ=シュバルツ=ローゼル=シュタイルは、今回、いきなり最前線にぶち込まれらことになった。
はたして…
賢者任命式翌日、魔族との戦争の最前線にいた。
「最前線早いな」
テントで他の賢者の登場を待っている。
「そうね、迅速の賢者もビックリの迅速さね」
俺こと、クロイツ=シュバルツ=ローゼル=シュタイルは、キリエ=クモガミの顔をハッとみた。
「今の二つ名な慣れてる感!賢者ッ!!」
キリエの顔が、若干赤くなる。
「無能!私達賢者は、自然と死に役になる時がある。その時、親近感が邪魔しない様に、本当の名ではなく、二つ名か賢者など、役職名で生きろって!」
これが賢者になった弊害、人は俺を、クロイツ=シュバルツ=ローゼル=シュタイルではなく、無能とか、無能の賢者とか呼ぶのである。
「これゼッテー俺!感謝されねーよ!」
「どうしてよ?」
「戦闘能力常人以下だよ?そのうち皆、あっ、ちょっと無能死んできて……って!絶対なるじゃん!!」
迅速の賢者は、ちょっと気まずそうにこたえた。
「あ〜、落ち着いて前向きに…」
「何が前向きだ!駐車場に車停めてんじゃねぇ〜ぞ!!」
迅速の賢者は困っている。
「おまたせ、あなた達が、ここに配属になった賢者達ね。」
縦巻きロールの髪を、少し高い位置でポニーテールにし、パンツスタイルのゴシックロリータが現れた。
「私は知の賢者、ヨロシク」
「私は迅速の賢者です、ご指導ヨロシクお願いします。」
「私はクロイツ=シュバルツ=ローゼル=シュタイルです。青春真っ盛りの15歳だ!!」
「無能、二つ名をと、言われてるの?」
「アナタも、二つ名に飽きた賢者のようね」
二人の反応がメッチャ冷たいが、正直、無能とか名乗るのは、ハードルが高い。
「まあともかく、今回は、ちょっと面倒なのがいるの」
知の賢者の話はこうだ…
この辺り敵は、人海戦術と賢者の力で排除したが、次に進むルートに、厄介なのが居座っているらしい。
頭の前後左右に目が付いており、八本の腕で剣を振り回す。
ここに配属する人間で倒すには、かなりの人数を犠牲にしないといけない。
知の賢者は、戦術で、被害を最小に抑えながら、ここを制してきた。
でもアレを打ち破るには、火力もなければ、人も足りない。
「それで俺たちですか?」
「まずは、いくつか試してからやるのよ」
試した結果から言うと、どうやら迅速の賢者でも、攻撃を見切られてしまい、当てるは難しい。
最後に、俺がヤラれてる間にやるヤツもやったが、小石を投げる程度の効果しかなかった。
「蘇生できるけど、死ぬ恐怖が凄いんだけど…」
翌日も知の賢者は、ツーンとしている。
「アイツの死角は真上しかないの」
身長3メートルはある。
「でも真上からはいけない。」
なぜなら真上に1メートル伸びる極太の…
「そう、真上には角があるの」
知の賢者は、左右に歩きながら話を続ける。
「あの角は、固くて頭の上に岩を落としたもダメなの」
しかも、視界が上に全くないわけではないので、真上から、せいぜい60平方㌢以下で無いと、普通に気づかれる。
「そこで!お前が上から行くのよ!」
「あ〜人間なら、縮こまったり伸びたりできるし、臨機応変に対応しやすいと、ハッハッハッ…」
「そうなの!ハッハッハッ…」
「…」(迅速の賢者)
「………」(知の賢者)
「………………理解できるか〜〜〜〜〜!!」
通常に激怒したりして…
「アイツの真上に行けたとして、アイツ目が8個有るんだよ?どうやってだ〜れだってすんだよ!!」
「最悪、お前が突き刺さればいいの、無能でも目隠しにはなるの」
「お前じゃない!俺はクロイツ=シュバルツ=ローゼル=シュタイル!!そんなの理解できねぇよ!」
「二つ名でと言ったはずなの?多かれ少なかれ、賢者は世界のために死に役になる。中でも再投入時間の短い無能は、そういった需要が一番求められるの。」
「だからって死ねっていうのか!」
「そうよ、無能と言う二つ名の提案は、私なの、無能と言う事で、人類はアナタの苦しみを、仕方ない、なんなら当然と思うの…」
「ヒデェ…」
「賢者は、蘇生時にやめることもできるの、別の無能が生まれるか、謎だけど、今回だけは、つきあってもらうの!」
次回の無能の賢者がまかり通る。
どうも、知の賢者の武器の槍ドリルです。
知の賢者って、賢者の中では非力だから、両手で、しかも、貫通力が上るように俺が採用されたわけ。
では、次回のおはなしわ?
ギュ~ン!ギュンギュンギュ〜ン!
ギュギュンギュン?
ギュギュギュ〜ン
っの三本で〜〜す!
せーの!ジャ~ンけ〜ん!ドリル〜〜!ギュ〜〜〜ンギュギュギュ〜〜ン!!
よっし!全部貫いた!ンガクック!?