無能の賢者、魔王を倒さない。
魔族が闊歩し、魔王が支配する世界、人類は苦しい時を過ごすしかなかった。
その状況を打開するために、人の神は、特殊な力を持つ人間『賢者』を生み出した。
賢者は覚醒や誕生と同時に、人智を超えた能力を持ち、魔族の根源たる魔王を倒すために立ち上がった。
数々の賢者が生まれ覚醒する中、ある男が賢者に目覚めた。
クロイツ=シュバルツ=ローゼル=シュタイルは、その人並み以下の身体能力と、まったくないスキル、魔力・闘気・生気ゼロのカスい能力の賢者だった。
世界は彼をこう呼ぶ…
『無能の賢者』
「力の賢者よ、お前の命もここまでだ!」
時は、まさに魔王との戦いのクライマックス!
ここまで数々の賢者の協力で、魔王軍を打ち負かしてきた!!
だがッッッ!!
ここにきて、魔王軍の分断作戦にはまり、賢者の中でも最強の力を持つ、力の賢者が、敗北しようとしていた。
「流石魔王…もはや俺に打つ手はない」
見れば力の賢者に相応しいオリハルコンの肉体は、もはや満身創痍、服は完全に破れ去っている。
「クックックッ、全裸とは、Compliance_Literacyの低い奴め、そんなことではアニメ化もできまいw」
確かに!今の時代、股間はおろか!バストトップですら怪しい時代てある!!
「安心してもらおうか…乳首には星マークが貼ってあるし、俺の股間は、輝きが強くても見えない!!」
「フッフフフッ…ハハハ、ハアッハッハッハッハァ〜!!」
魔王笑いながら、大きく手を広げた。
「最後に笑わせて貰ったぞ…サラバだ!!」
開かれた両手のひらに魔力の黒い渦が巻きおこる。
「スキありぃぃぃぃ!!」
上から突然降ってきた男が、手に盛ったワサビマヨネーズを魔王の目にぬりたくり、鼻にチューブを突っ込んでジュ〜〜ってした。
「グッぎゃあああアアアアア!!そんな悪戯の枠を超えたことをしてぇぇ!!お母さんに怒られるのが怖くないのかぁぁぁぁ!!!」
「今だ!!」
魔王に生まれた、わりとシッカリとした隙を、力の賢者は見逃さなかった。
右の拳が魔王の腹にめり込むと、魔王の体の中心に、赤く輝く部分が現れた。
「そこがコアら!!そのまま体の外に打ち出せ!!」
噛み気味の男の声に、力の賢者が応える。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおぉ!!」
コアに向かって拳を振り抜くと、真っ赤なコアが背中から飛び出した。
「クソ!卑怯な!卑劣な!この魔王が敗れると言うのかぁぁぁぁぁあ!!!」
すぐさま左の拳で、コアを捉える!!
「赤いコアが砕けた中にある!!青い欠片を砕くんだ!!」
中に見える青い欠片を右の拳で叩き割る。
「その粉を!!手で挟んで摩擦熱で焼き付くすんだぁぁ!!!」
宙に舞う破片を挟み込み、猛烈な勢いで手のひらをコスリ合わせる。
「アチチち!アッチチ!?」
やり過ぎて、自らの手のひらを火傷したとき、魔王のコアが消滅し、魔素が力の賢者に、経験値として吸い込まれた。
「魔王よ…永遠の闇に眠れ…」
っと、ワサビマヨネーズ方がカッコつけていた。
「流石だな、助かったよ…だが疲れた、少し休ませてくれ…」
全ての力を出し切り、手のひらを火傷状態の力の賢者は、力の尽きた。
「ああ、卑怯と御経は俺に任せな」
倒れ込む力の賢者を受け止めると、重くて立ってられないので、膝まづいた。
「おっも!マジ重!!」
この貧弱非力な男こそ!
全賢者から絶大な信頼を得る賢者…
『無能の賢者である。』
次回 無能の賢者がまかり通る。
『無能の賢者、最終回じゃない?』
っを、お送りします。
せーの!ジャ~ンけ〜ん!
チョキを出しながら目潰し〜〜〜!!
これで次回は見れないね♪