3話
3話
少女が接近を終え、パンチを出してくる。
そう早いわけではない。
なのに、リーチは当然のように体格程度のリーチしかない。
パンチキックの速さではない。
少女のパンチが、硬直状態の僕の無防備な顔にヒットする。
今まで味わった事があるかないか分からない痛みに襲われる。
痛いじゃねぇか。
痛みだけじゃない、体が頭が心に痺れがくる。
ダメージを食らうと、体も頭も心も満足に動けなくなるって事だ。
ならば、先手を取りさえすればいいゲームなのだろうか。
そんなゲームバランスの悪いゲームなのだろうか。
そうではないはずだ。
一撃必殺のゲームもある。
それなら、もう僕の負けになっていいはずだ。
これは、先手を取りさえすればいいだけのゲームじゃない。
あやふやで定かでない前世の僕の経験が経験が、そう判断する。
僕を誰だと思っていやがる。
前世で僕が誰だったか何だったのかなんて覚えていやない。
僕が異世界転生者様だという事は分かる。
痛みに惑わされてはいけない。
HPの減りを見ると、威力も高いわけではない。
体格相応の威力だ。
なら、何かにポイントを割いてあるわけだ。
それが分かれば、こちらもただダメージを減らされたわけじゃない。
パンチを食らうことで、画面のリバースゲージが上昇した。
パンチを当てた少女より僕の方がリバースゲージが上昇している。
攻撃を食らった側は硬直も大きく次の攻撃に繋げられてしまうが、このリバースゲージとやらで
反撃に移るシステムなのではないだろうか。
どうやって。ゲージがどれだけあれば反撃できるのか。
それは分からない。