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わたしは暖炉………。

作者: 麗紫 水晶 (れいし すいしょう)

暖炉って………良いですよね。勿論、手間暇はかかるでしょうけど。そんな暖炉が心を持ったらどう思うのか? 私なりに書いてみました。ギリ1000文字以下で………。

 読んでみて頂ければ………では。

 ふっ、何を隠そう私は暖炉だ。名前は……い、いや、私に名前を付ける奇特な者など、まず居ない。

 私はただ、この家に住む家族の為にこの場所にいる。勿論動く事は出来ない。何故なら私は動く物で構成されてはいないからだ。煉瓦で囲み、石材も使い薪や石炭を炊く所謂ストーブと言われている物と同類なのだ。

 頭の上からは太い煙突が屋根を突き破る様に出ている。ここから煙や匂い、一酸化炭素を吐き出しているわけだ。これで家の住人を暖め、守っている。自慢ではない、私の仕事だ……。

 家族は4人、男女のまだ4、5才位の子供に両親がいる。若い家族だ……人生の先は長いだろう。

 薪をくべて火を付けるのはパパさんの仕事だ。私はやけどを負うことはないが、パパさんは火が周りに飛ばないようにし、紙に火をつけて底の方に入れる。すると、紙が燃えるのを通して薪に燃え移っていく……まあ、灯油をしみこませた物があれば更に火が付きやすくなるだろうがそこは急いではいないのでゆっくりと燃えてくれれば良い。そこは私が言わずとも、住人が分かってはいるので気にする事ではないが………。

 丁度、向かいの天井に窓があって外の空の眺めが見える………。満点の星空に綺麗な月明かりが差し込んでくる。その星の一つが尾を引いて流れていったのを見たのは私だけだろうか………。

 お、夕飯の時間か……ママさんがテーブルに両手で鍋を運んでくる。

 いい香りが、部屋中に包まれる………いや、私に匂いは分からないが……子供達が喜んでいる所を見ると好物のようだ。丸く底の浅い皿に盛られていくトロっとした白いあん状の物はニンジンやジャガイモ他の食材を絡めて皿に流れていく。子供2人のキラキラした嬉しそうな目を見れば、それが大好物なのは分かる。シチューだ!と喜んでいたので、シチューという料理だと分かった。

 何?私が羨ましがってるだと? 何を言う、私に食べるという概念は無いしそもそも口や胃や腸という物が無い。おなかが空く訳でもなければ、動く事も出来ない訳だから料理が出たからと言ってうれしい訳ではない。

 ………ただ………私が嬉しいと思うのは、この家族が笑って微笑みあって食事をしているという事だ………この家族の微笑ましい姿を見るために、私は日々ここで”燃えて”いるのである………………。

読了ありがとうございます。人それぞれに思うところや、捉え方があるとは思いますが、楽しんでいただけたら幸いです。

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