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第33話 開戦


「お、オルクス様……変です」

「ど、どうしたマリア何かあったか?」


 スカルマンを強化してすぐにマリアが異変を訴えてきた。

 まさか魔獣強化がマリアにも影響したのか、まずいな、とりあえず解析でレベル確認しよう……あれ特に変化してないぞ。


「おかしいです!魔獣強化をお使いになられたのに私には一切変化がありません!」


 なるほど、魔獣強化の効果は重複しないのか。

 これも嬉しい誤算だな、あんまし強くなられ過ぎても制御が難しくなるだけだしこれは助かる。


「大丈夫だよマリア、君はもう十分強いから」

「全然ですよ……私は弱いです」


 マリアはそう言うとしょんぼりとしてしまった。

 はぁなんでこうなるかな、でも部下を励ますのも上司の仕事、ここは一つなにか言わないとな。

 ……あれそういえば俺、落ち込んだ時ゲルマン先生に励まされたっけ?


「マリア、よく聞け別に俺はお前が弱いとは思ってないよ、むしろ最強だと思ってる」

「え?」

「強さってのは何も力だけじゃないんだ、優しさや思いやりとか心の部分も大事だと俺は思う」

「……」

「だからマリア優しくて強いお前は、俺からすれば最強だと思うよ!」

「オルクス様ぁ、あ、ありがとうございます!」


 そう言ってマリアは泣いてしまった。

 そんなに良いこと言ったか今?

 とりあえずこの調子で他の準備も進めていこう。





ーー2日後



「よぉオルクス!」

「先生!」


 朝、先生に言われデリアリの西の城壁へ行くとそこには先生がいた。


「いよいよ今日じゃな、準備はぬかりないか?」

「ええまぁ、それなりに、というかわりと全力で準備してきましたね」

「おおそれは頼もしいな!」


 先生はそう言うと俺の背中を思いっきし叩いた。

 こういうところも嫌いなんだよね。


「それで先生の作戦とかは?」

「儂はただ前線に立つのみじゃな」

「あっはは先生らしいですね!」


 まぁそうだよな、この人そういうのとか考えないよな。


「まぁとりあえず、儂は好きなようにやるからそっちはそっちでうまくやれ」

「了解です、じゃあ俺もう行きますね」

「ああ武運を祈る」

「先生も」


 俺はそう言って西の城壁から降り、瞬間移動を発動させた。


「あ、オルクス様!軍の準備できました、いつでもいけますよ!」

「ありがとうロック、じゃあお前はそのままスカルマンの軍を率いてエルナス王国軍3万の相手を頼む」

「オルクス様は?」

「あとの2万を片付ける」

「かしこまりました」


 エルナス王国軍は現在、ここ王都デリアリから3キロほど離れた地点にいる。

 出撃体制が整い次第、第一陣2万がおそらくここへ来る、その前に手を打たないとな。


「俺が先に仕掛けるからそのあとのことは任せるよ」

「了解です!」


 そして俺はまたアビリティ瞬間移動を発動させた。


「マルクス将軍、第一陣2万5000の準備が整いました」

「よしわかった、それじゃあ出陣といこうか!」

「おーいたいた」


 俺は瞬間移動で近くに着いた後アビリティー浮遊を使い、エルナス軍の真上に移動した。

 この位置からならだいぶ相手の戦力を削ることができそうだな。


「アビリティ発動ー爆雷」


 俺はそのまま上空からエルナス軍に向け大きな雷を落とした。


「な、なんだこれは」

「い、一体どこから」

「あれをみろ!空中に人が浮いてるぞ!」


 気が付かれたか。

 エルナス軍に空中の場所がバレた俺はゆっくり地に降りた。


「どうも皆さん、こんないい天気にお散歩ですか?」

「なにが散歩だ!この上級術師が、我々見て気づかんのか軍だぞ我々は!」


  そう言って派手な鎧を着た軍人が俺に詰め寄ってきた。


「知ってますよ、だから止めに来ました」

「は?止めるだと、1人で一体なにができると言うんだ」

「色々かな?」

「は?」


 俺がそういうとその派手軍人は露骨に敵意を出してきた。

 さてそろそろ時間になるし始めるか。


「アビリティ発動ー【魔境】雷轟白夜」

「なっ、こいつ【魔境】持ちかよ……」




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