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第29話 資金調達!


「みんな聞いてくれ、俺たちはこの三日間でお金を稼ぐ」

「やっぱしエイドリアンの屋敷の修繕費っスか?」

「ああ、そうだよ」


 結局あの後泣き止まないエイドリアンを見て俺も流石に可哀想だなと思ってしまい、修繕費の話を持ちかけてしまった。

 すると異様なほどにエイドリアンの食いつきがよく、結果的に勢いそのままに俺が全額負担することになってしまった。

 ま、まぁ、6割くらいは責任あると思ってるからいいんだけど……はぁ残りの4割が重いなぁ。


「すいませんオルクス様、お金を稼ぐとは具体的に何をするのですか?」


 吸血鬼のマリアが申し訳なさそうに俺にそう訊いてきた。


「ああその事なんだけど、これからは役割を分けて各自に仕事を割り振ろうかなって思ってる」

「仕事?」

「そう仕事だ」


 うちには戦闘面において王国内でも割と最上位クラスの奴らがゴロゴロいる。

 しかもこいつら13魔は強化により人の姿となる事ができる。

 つまりこいつらは人に溶け込んで仕事ができるってことだ。


「ファルコとミリオンはこれからバーバラっていう弱小ギルドに入って冒険者をやってくれ」

「御意」

「りょーかいオルクス様!わたし頑張るね!」


 ガーゴイルのファルコと巨人のミリオンにはギルド所属の冒険者となってもらう。

 こいつらの強さなら最高位のS級冒険者すぐになれるだろうし、そうすれば入ってくるお金もかなりの額になる。

 これは将来的に貴重な収入源になると思う。

 しかしこれではすぐに支払う必要のあるエイドリアンの屋敷の修繕費としては使えない。

 ではどうするのか、答えは簡単だ。


「2人とも頼むよ、それでマリアと千手は俺と一緒にカジノに行こう」

「え?カジノですか?」

「ああ」

「か、かしこまりました」


 俺がカジノへ行くと言うと千手が意外そうな目でこちらを見てきた。

 まぁ気持ちはわかる。

 実際俺も、まさか自分からまたあそこに行くなんて思いもしなかった。

 だけどもそれは逆に今の俺はそれくらい追い込まれてるってことなんだよね……。


「そしてタマキさんとアンさんにはここに残ってもらう」

「え?」

「ごめんね、でもタマキさんを守るためにはそれが一番良いと思ってさ、アンさんもこれから外は魔人が攻めてきて危険だからここにいてね」

「う、うんわかったよオルクスさん」

「わかったお兄ちゃん!」


 2人には悪いけどやっぱし外はなんだかんだ危険だと思うし、ここに残ってもらった方がいいと俺は判断した。

 

「ベヒモス!ガルム!お前らもここに残って2人を守ってくれ」

『了解』


 ここに魔人が来ることはないと思うけど、念のため2人を残しておこう。

 あとはアロウとアイツらか。


「ねぇねぇオルクス様ぁ、私は何したらいいのぉ?」

「お、おおムーファか」


 俺が他の魔獣達の仕事を悩んでいるとサキュバスのムーファが寄ってきた。

 お姉さんの魔獣とか作ろっかなぁとか軽い気持ちでこいつを作ったけど、俺ちょっとこいつのこと苦手かもな……。


「私さぁ、なるべくオルクス様のそばにいたいなぁ」

「あ、ああそれもいいな、でもお前にはピッタリの仕事あるからそっちを頼むよ!」

「え、なにその仕事って?」


 お、食いついたな。


「第三広場に魅惑の園っていう酒場があるからそこに行って情報収集兼お金稼ぎのために働いてくれないかな?」

「えー、本当はやだけどオルクス様の命令なら行こうかなぁ」

「ありがとう!それじゃあシフォンも一緒に連れてってくれ」

「え、シフォンも?」


 シフォンとはアンデッドの魔獣である。

 シフォンもはじめは容姿も雰囲気もまさにアンデッドって感じの娘だったけど、強化によりこれまた可愛い容姿になったので、どうせならそっちの武器を活かせる方が良いと思いムーファと同行させる事にした。


「わ、私自信ないよオルクス様」

「大丈夫、お前は人気者になれるよ」

「え、それってどういうこと?」

「とにかく!お前ら2人にはその仕事を任せるから、頼むぞ!」

『了解』


 さて後の連中は考えるのめんどいからまた今度にするとして、まずはこのなにもない異空間の世界に家を作るとするか。

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