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16話 オルクスの力


「ねぇオルクスさんって何者なの?」

「え?た、ただの冒険者だよ」

「そう……」


 協力関係を結んだ事で戦う心配が無くなったためか、ティアナは俺の正体について訊いてきた。

 さすがにただの冒険者じゃそろそろキツイかもな……。


「いや待てティアナ、やっぱり俺の正体についてしっかり話させてくれ」

「……わかった」


 そこから俺は自分が本当はレベル999であること、そしてギフトスキルが6つ使える事を話した。

 

「本当はレベル999でしかもギフトスキルが6つ使えるって、オルクスさんそれ世界最強の勇者よりも強いよ……」

「え、マジで」

「うん、世界最強の勇者でも確かレベルは350くらいって聞いたことあるし」


 なんとなく想像してたけどやっぱり俺勇者より強いんだなぁ。

 じ、実感がねぇ。


「それよりティアナ、君の使えるアビリティとかスキルについても知っておきたいから教えてくれないか?」

「い、いいけどさ、なんでオルクスさんは私のことティアナって呼ぶの?」

「え、だってティアナだろ名前」


 もしかして、この子ティアナってのはニックネームであって名前じゃなかったりとかなのかな。


「いやそうだけど、ティアナ"さん"じゃない普通」

「あ、もしかしてティアナさん年上とかでした?」

「いやそうじゃなくてさ……初対面なんだしそれが礼儀でしょ!!」


 そう言ってティアナは家の中へ入ってしまった。

 まずい怒らせてしまった……。

 でも別にそんな怒る事でもないよな、もしかしてティアナの奴本当に俺より年上だったりして。


「今のはお兄ちゃんが悪い気がする」

「え、そうなの?」


 妹ちゃんにもそう言われてしまった。

 仕方ない後で何かプレゼントでもあげて機嫌を取ろう。




「……ねぇあんたさ人ん家の前で何やってるわけ」

「あ、ティアナ……さん、いやごめんねちょっと戦力が欲しくてさ」


 俺は暇だったので、ティアナが出てくるまでの1時間で戦力補充の一環に魔獣生成で何匹か魔獣を生成していた。


「いやいやいや邪魔じゃんこんなの、つかこついら皆レベルヤバそうなんだけど……」

「ま、まぁとりあえずこいつらは別の場所に保管できるから大丈夫だよ」

「保管ってなにそれ?」

「アビリティ発動ー異空間の扉!」


 俺は作った魔獣を隠すべく異空間の扉を開いた。


「う、嘘でしょこんなの最上位……いやもはや神の御業じゃ……」

「よし、開け!」

「……ひ、開いたよティアナ」


 急に現れた扉を見て二人は固まっていた。


「お前達、後でまた呼ぶから一旦この中で待機しててくれ!さぁいけ!」


 俺がそう言うと平均レベル250程の魔獣達は続々と扉の中へ入って行った。

 しかし困ったな、魔獣生成使いすぎて魔力がなくなってきてしまった。

 これはアレを使う良い機会かもな。


「ギフトスキル発動ー完全回復オールヒール!」


 ギフトスキルー完全回復、制限があり1日一回のみしか使えないが効果は絶大で、体力、怪我、魔力というか俺の全てを完全回復させるものである。

 ただ例外がありギフトスキル関連には適用されない。

 そしてこれにより俺の魔力は全快した。


「よぉし、戦力も整ったし回復もしたしエイドリアンの元へ行こうか!」

「……もうあんた一人で行きなよ」

「うん、お兄ちゃんなら多分国を……いや世界を相手にだって戦えるよ」


 何言ってんだこいつら、そもそも俺はあまり働きたくない人間なんだから国や世界となんて戦うわけないだろ。


「くだらない事言ってないで行くぞ」


 まったく俺は早くこの仕事終わらせて休みたいと言うのに……。



 


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