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13話 5番目のギフトスキル


 エイドリアンが人身売買に関わっている事がわかった以上、タマキに危険が及ぶ事は明白だし、ここは速やかエイドリアンを捕獲しないとな。


「アビリティ発動ー【多重】空間固定」

「な、なんだこれ動けないぞ」

「くっ、私も動けない」


 【多重】空間固定、本来は1人にしか作用しないアビリティである空間固定を、【多重】というアビリティを用いて拡張させ複数に作用できるようにしたものである。

 


「悪いな、ティアナさんも捕らえるよう頼まれててさ」

「……あんた吹っ飛んだはずじゃ」

「おいおいおいおい!なんだよこれは、私は貴族だぞこんな事が許されるわけない、貴様死にたいのか?」

「いや死にたくないけど、少なくともあんたには殺される気はしないな」

「舐めたことを言いやがってこの若造が、いいだろう真の力とは何か見せてやる」


 そう言ってエイドリアンは何かしようとしたが、空間固定されているので結局もがくばかりで何もできなかった。

 まぁ多分、渇望石の力を使いたいのだろうけど、そもそも渇望石じゃこの空間固定は封印できないんだよなぁ。

 ちなみにさっき渇望石は解析させてもらったので、なんならエイドリアンよりも俺は渇望石について詳しい。

 渇望石はどうやら全ての異能に干渉できる訳ではなく、実体のある異能にのみ干渉できるらしい。

 故に実体のない空間固定は封印できないのである。

 ていうかこいつ焦ると性格変わるんだな……。


「色々試すのはいいけど、ひとまずお縄についてもらうよ」


 俺はポッケから捕縛用の鉄輪を取り出した。

 鉄輪とは、冒険者がモンスターや違法行為を行った冒険者などを捕らえるための道具である。


「ねぇあんた、そいつを捕らえるのは勝手だけど私はどうなるの?」


 同じく固定されているティアナは俺にそう訊いてきた。


「まぁとりあえず、さっきの広場に戻って君の身柄を引き渡すかな」

「そう……それならまた飛んでオルクスさん」


 ティアナはそう言って俺を睨んできた。

 また体が動かなくなってきた、さっきのをやる気だなあれは喰らうと色々まずいし……仕方ないとっておきを使うか。


「ギフトスキル発動ー認知制御」

「ギフトスキル?あんたも使えるんだ、でも私の方が強いよ、ギフトスキル発動ー力操作」


 ティアナのやつ1日2回しか使えないのに結構乱発するんだな。

 そのスキルは要所要所で使えばもっと上手く利用できるのにもったいないなぁ。


「あれ、な、なんであんたを吹き飛ばすことができないの?」

「なにをしているんだティアナ!こんな奴お前の力があれば一発だろ」


 おいおい敵だったエイドリアンまで、ティアナに期待し始めちゃってるのかよ。

 

「いや違う、そこにいるはずなのに力操作の対象として認識できない」

「は、何を言ってるんだ?」


 ギフトスキルー認知制御、俺から半径10mにいる人や動物の認知機能を一定時間コントロールできる能力である。

 俺はこの能力を使いティアナに俺の存在を認知できないようにした。

 ティアナの能力は狙いを定めてから発動するタイプである。

 故に狙いに定められなければその能力は発動する事はない。

 つまり、俺にその攻撃は使えないというわけだ。


「なんでなんで、なんで使えないの!」

「おいティアナどうしたんだ、こんな奴早くやってしまえ……ってティアナ?というか誰もいないのか?」


 ティアナには俺だけを認知できなくしたが、エイドリアンにはエイドリアン自身以外を認知できなくした。

 故にあいつは現在、ここには自分以外誰もいなくなったと錯覚している。


「さてと、とりあえずこれで捕獲完了だな」

「なんで、なんでよ!つかあいつはどこ?どこいったのよ!」

「おーい皆んな、私を置いてどこへ行ったんだ誰か助けてくれー」


 うーん、捕獲はできたけど結構うるさいな。

 仕方ない、全てを認知できなくして気絶させよう。


「悪いな2人とも寝ててくれ」

「はっ!」

「なんだっ!」


 一時的に全てを認知できなくなったショックで2人とも気絶した。

 これで運びやすくなったな。

 ちなみに、周りに15人ほどいたやばい奴らは瞬時にこれと同じことをして気絶させたので襲ってくる心配はない。


「お兄ちゃんは悪い人なの?」


 俺が気絶したティアナに近づくと小さい女の子が話しかけてきた。

 あ、この子は確かティアナの妹か。

 参ったなこの子どうしようかな。


「お兄ちゃんは悪い人ではないよ、悪いのはさっきの貴族のおじさんだよ」

「え、そうなんだでもお兄ちゃん、貴族のおじちゃん消えちゃったよ」

「え?」


 言われて気がついたがエイドリアンの姿が無くなっていた。




 

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