スマイルは大事
A・ツッコミ
B・ボケ
A&B:どーもー! よろしくおねがいしまーす。
(※何かしら自己紹介を挟んでも可)
B:唐突なんですけどね、ファストフードで働きたいなぁと思ってまして。
A:ああそう。
B:だから、今から僕、履歴書を書くんで、あなた、ひとり置いて帰ります(と、帰ろうとする。)
A:ちょちょちょちょ、帰んない帰んない。
B:なに?
A:いや、まさかガチのやつとは。
B:(いきなり大きな声で)ファストフードで働きたいんだよ!
A:うん、よし。とりあえずあと数分だけ漫才やってもらっていいかな?
B:漫才終わったら働いていいのか?
A:はい。それはどうぞご自由に。
B:よっしゃーーー!!!(ガチの雄叫び)
A:まあまあ、夢があるのはいいことですからね。
B:じゃあ、僕が漫才をやるんで、あなた、マイクをやってください。
A:いや、ちょっと
B:どーもーーー!(Aの頭に向かって)
A:うるさいうるさい
B:あれ? ちょちょちょ、(Aの頭の高さを調節する)
A:なになになに?
B:どーもーーー!
A:僕の高さ調節しないでくれる?
B:はっ!?
A:今度は何?
B:ま、ままま、マイクが二つある!
A:当然の結果だけどね、僕がマイク役だと
B:(わざとらしく困惑して)ど、どっちに話したらいいんだぁ! あわわわわわわわ……
A:いや、そんなに慌てること?
B:(”もういいよ”のイントネーションで)もう無理だよ。ありがとうございましたー(と、帰ろうとする)
A:ちょちょちょ!
B:(不機嫌そう)なに?
A:ちゃんと漫才やりなさいよ。
B:ファストフードで働きたいんだよ!
A:ああ、はいはい。じゃ、こうしよう。あなた店員やってくださいよ、わたしが客をやりますから。
B:(大きな声で)いらっしゃいませこんにちは!
A:あ、もう始まってんのね。
B:いらっしゃいませこんにちはー!
A:あ、注文いいですか?
B:(やる気なくして)しゃーせーちゃー
A:客を選ぶんじゃないよ
B:ご注文はどうかしてますか?
A:どうもしてません。普通に注文します
B:ご注文どうぞできるものならね(ニヤリと笑う)
A:挑戦的だな、おい。えーっと、じゃあチーズバーガーを一つと、烏龍茶ください。
B:ドリンクの方、S、SM、SLとございますが?
A:S以外謎なんですけど。
B:SMは公衆の面前で頭の上から掛けることになります
A:やっぱり。SLは?
B:氷の代わりに石炭入れます
A:ふざけてんな。Sでいいよ、Sで。
B:かしこまりました。
A:あ、あとスマイルもお願いします。
B:ではご注文聞き返します。え?
A:いや、だからスマイルを
B:はぁ?
A:あ、もういいです。
B:スマイルワン入りまーす
A:聞こえてるじゃねぇか
B:ご一緒にポメラニアンいかがですか?
A:サイドメニューに犬!?
B:サイズも小型から大型までありますが
A:大型ってもはや別な生き物だろ
B:では、バーガーと烏龍茶Sでよろしかったですか?
A:ああ、あとスマイルな。
B:最後に確認なんですが、
A:(いらだたし気に)なに?
B:自分、店員じゃないんですがよろしかったでしょうか?
A:よくないわ! なに勝手にそこ入ってんの!
B:いやだって、まだ履歴書書いてないから
A:書いたテイでいいでしょうよ!
B:え、いいの!?
A:いいよ
B:あ、じゃあ、漫才頑張ろっと
A:ん? なぜ急に心変わりを?
B:だって、明日のファストフードの面接、てっきり履歴書いると思ってたからさ
A:え、いや、それは
B:(希望に満ちて)さあ相方、お客さんに最高の漫才見せようぜ!(と満面のスマイル)
A:いまさらかっ!ってツッコもうかと思ったけど今日一番のスマイルが眩しいから、(”もういいよ”のイントネーション)まあいいや。
A&B:ありがとうございました。
(了)