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お隣の女 2

 ――その日の朝。


 身支度を済ませていると、インターホンが鳴った。


 玄関へ向かい扉を開ける。0円スマイルを浮かべた大場さんが居た。


「日替わりモーニングBセットで!」


「すいません、Bセットもう終わっちゃたんで……」


 扉を閉めようとしたが、止められる。


「ッ! じゃあC! Cでいいっすからぁぁ!」


「あ~、Cセットはシェフの気まぐれで今日は無いんで……」


「そんなぁ、わかりましたじゃあDで! Dでお願いしまっす!」


「なんで急にセット付けなくなったんだよ」


 これ以上騒がれるとなんか色々マズイ気がするから部屋へ入れる。


「……で、本題を聞こうか」


「お腹が減ったのに、食べ物がありません。なのでEセットください」


「正直に大雑把で図々しいとは、お前朝からホント元気よな」


 こいつ何でこんな元気なんだろ? 


「っつか昨日米あげたよな? なんで炊かないのよ?」


「炊きたてを食べようと思ってたら、スイッチ押すの忘れちゃいました」


「……あれ、意味が、遅れて、伝わって、こねぇな! 全然こねぇわ!」


「兄者、パンは焼きたて、そばは打ちたて、米は炊きたてが一番美味しいじゃないっすかぁ!」


「パンとそば邪魔だろ、米だけで全部わかる。だけど意味が違う」


「兄者が何をわからないのかがわかりません」


「俺がわからないのは炊き方だよ」


 ついでにお前の感性もわからん。


「炊飯器で炊くんなら、タイマー予約くらい出来るだろ?」


「兄者、お言葉ですがそれくらい知ってます」


「じゃあやってくれよ、次からそうすればいいよ」


「兄者、残念ながら味が違います」


「は? え、何。もしかして朝に米を研いで朝スイッチ押すの忘れたって言ってたの?」


「いえ、お米は昨日準備しま「同じだよ! 絶対同じ味だよ!」


 この、うわ勘違いしてた恥ずかしい系ストレスどうすんだ、おい。


「……兄者、落ち着いて聞いてください」


「うん」


「夜10時にタイマー予約を朝7時30分にセットした場合、スイッチを押してから9時間30分待つことになります」


「うん」


「しかし、朝6時50分にスイッチを押せば40分待てば炊けます」


「なるほど、つまりタイマー炊飯ではスイッチを押してからのなんやかんやで米への意識が薄くなり炊きたてを逃してしまうが、通常炊飯では米への意識が途切れることがなく炊きたてを食べれるという事か」


「そういうことです兄者!」


 そんなキラキラした眼で見られてもなぁ。


「お前、今その瞬間を楽しみすぎだろ」


「はい! 今メッチャ楽しいっす!」


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