きっかけ1
前に、好きな人がいた事がある。
何度となく2人でご飯を食べて
愚痴を聞いてあげて
『優しいよね。俺、そういう人がいい。』
なんて言われて
『一緒にいて』
とか
『俺がいるよ』
とか。甘い言葉にほいほい乗っかって。
『男は女を守るべき』
とか
『女は大人しく守られとけばいい。男の仕事に口出すべきじゃない』
なんて、ちょっと「え?20代にしては考え方古風だな」とか思いつつも、まぁ、優しいんだな!なんて無理やり納得してた。
でも
そのうち、メッセージのやり取りは度を越してきて
少しの間でも返さなかったら
『なんで返さないの?』
『俺なんかした?』
『寂しい』
『構って』
の連続。
それでも、好きだったから。
年下だけど好きだったから。
ひたすら相手をしてた。
飲みに行けば2時間、ひたすら話を聞いた事もある。
ひたすら長いメッセージを読んでぐったりしたこともある。
友達はその人を「自己陶酔型のかまちょ」と言っていた。
メッセージの内容がほぼ『俺はこんなに優秀なのに認めてくれない。貴女は認めてくれるよね?』っていう感じの内容だったからだろう。
『男とはこうあるべき』『女とはこうあるべき』の持論展開だけで画面が埋まっていたし。後から見返して友達と『めんどくさい』なんて言って笑ってたけど。
今じゃ馬鹿だったんだなって思う。
結局私も寂しかっただけだった。
プライベートも仕事も、あんたり上手くいってなくて、結構キツかったから。
そうやって相手してたら、自分の居場所が確保された気になってたんだ。
まあ、気のせいだったけど。
なぜなら、告白した途端、言われたのだ。
『見た目が好みじゃないんだよね』
一気に熱が冷めた瞬間だった。
きっかけはいくつかあるので次の話はもうひとつのきっかけを