episode…I 〜転生〜
意識を取り戻し達也はゆっくりと目を覚ます。
そこは、ただ真っ白で何もない空間。
その空間には自分以外の存在の気配すらなくただどこまでも真っ白な世界が続いてるだけ……
「ここは、何処だ?俺は確か刺されて…」
自分の死の直前の記憶を思い出していると刺された事に苛立つ半面ここが何処なのか理解し、自分の死を受け入れるしかない事実を痛感した。
「そうか、俺死んじまったのか、ここが天国ってやつか?」
「いいえここは天国ではありませんよ。」
突如聞こえる女性の声に達也は困惑した。
「じゃぁなんだ、ここは地獄か?地獄にしては随分優しそうな場所だな。」
「いいえ、ここは地獄でもありません。そうですねぇ、、生としの狭間と言えば良いでしょうか…」
「生と死の狭間ねぇ…そんな馬鹿げた話信じるのがむずいだろうよ、普通に生きてるならな。それよりあんたは、誰だ?姿くらい見せてもいいんじゃねぇのか?そんで俺はどうすればいいんだ?」
「ふふっ。これは失礼しました。私は『ギル』簡単にわかりやすーーく言えば神なのですっ!」
そー言ってギルと名乗る自称神が姿を現したのだが…達也は言葉を失った。
何故なら、目の前にいるのがアニメやら漫画にしかいないような美人で、達也には縁がなかった二次元にいるような見た目なのだ。
髪は背中まであるロングヘアーで白髪、整った顔立ちに青い瞳、服は何処か修道服に似たような服で、そして何よりスタイルがいい。
服の上からでもわかるくらい体のラインがはっきりしているのだ。
「神さまってのはこんな美人なのかよ…ってそんなことより、なんで神様自ら俺に声かけてくるんだ?」
「そんなことよりって酷いですねぇ。見た目には自信があるんですよぉ?ギル泣いちゃいますよぉ……?」
そー言って泣き真似をするギルを見て達也は。
「…何?神様ってみんなあほなの?」
「コホン、それでは、本題に入りましょうか。あなたがここに来た理由は2つの選択肢があるからです。最後まで生きることを願ったあなたに生き返るか、死ぬかの選択肢を与えます。」
半ば強引に話を戻したギルを見て達也は呆れながらも答える。
「無理やり本題に持ってい来やがった…まぁそれはいいとして、生き返るか死ぬかってのは俺は生き返る事ができるんだよな?
「はい。ですが少し違うことがあってあなたの過ごした世界とは別の世界に転生してもらう形になります。」
「転生ねぇ……よくわからない言葉だな。動物に生まれ変わるのか?俺は。」
アニメや、異世界転生系のラノベそういった物に関心のなかった達也にはいまいちよくわからなかった。
そんな達也を見てギルは、ニコニコしながら答える。
「少しちがいますねぇ。あなたには剣と魔法で戦いが起こる世界。人間と魔物の戦争がある世界。わかりやすく言うとあなたの世界で言う、アニメ、ゲームのような所で二度目の人生を送ってもらいます。」
達也はこの自称神さまが何を言ってるのか理解するのに時間がかかった。
「そんな世界が実在すんのかよ…じゃぁ俺がその世界に行ったとして魔法とか使えんのか?日本に居たんだ。魔法どころか剣も使えねぇ。やって来たのなんてチンピラどもと殴り合いの喧嘩ばかりだ。」
達也がそう言うと。ギルは笑い出した。
「あははは……っと、失礼しました。あまりにも見た目に反して心配性だったものでつい。」
達也の見た目は髪は金髪で男にしては長めで、顔は整ってるが、強面なタイプだ。そして何より身長が高くよく言われる細マッチョというやつで、殴り合いで負けなしのとても心配性には見えない見た目だ。
「悪りぃかよ。失礼な神様だなぁおい。」
「もぉ〜謝ってるじゃないですかぁ。」
頬を膨らませながら拗ねた表情を見せたギルに対して達也は心の中で可愛い…結婚したいと思ってしまったりもした。
そしてギルは続ける。
「はい。少し脱線しましたが、あなたの気にしてることは心配ありませんよ。なぜならこの私が特別サービスで魔法も使え剣術もそれなりに使える体に変えて転生させるからなのです!もちろんあちらの世界の言葉の読み書きも可能になりますよぉ!そんな優しい神様だなんて……」
一通り説明を終え、最後に自画自賛してるギルを見て、達也はこいつが神で大丈夫なのか心配になったのであった。
「何も言わなきゃ俺も素直に優しいって言えるんだがなぁ〜とりあえずだ、その話乗った!このまま死ぬのは正直後味悪りぃしよ、何より俺があっちの世界でもつえぇ男で居られるのか試してみたい!」
達也は決心し、異世界に行くことをギルに伝えた。すると真っ白の空間から一箇所少し離れた場所が輝きだした。
「あなたの決意確かに受け取りました。そこの光ってるところに入るとあなたは別の世界に転生されます。何か質問は?」
「あぁ〜じゃぁもう会えないし3サイズ教えて!」
笑いながら達也がそう言うと、ギルはニコッとした、目だけが笑っていない冷酷な笑顔で。目だけがわらっていないのだ。
「ふふふっ私の聞き間違いでしょうか?あなたを今聞き間違いで無の存在に変えそうになってしまいましたよぉ。ごめんなさいねぇ。」
ギルがそう言うと達也は爆弾を押しかけたことにようやく気付き、後悔した。
「俺が悪かった。冗談の」つもりだったんだが…悪い。」
「わかればいいんですよ。わ・か・れ・ばね?」
ギルの言葉に達也は反省し、改めて光の中に入った。
「なんだこれ…っ眩しい!!」
パッと一瞬光に包まれ、眩しさに目を閉じた達也だが、次に目を開けるとそこには、見たこともない景色が広がって居た………




