彼女の手がとてもきれいだから、僕はいつもその手を見つめる(200文字小説)
差し出された彼女の手を僕は見つめる。
貸していた本を返そうと差し出した彼女の手。
「ありがとう」
僕は慌てて視線を彼女の顔へ向ける。
「どういたしまして」
何事もなかったかの様に返事をする。
「いつも見てるわね」
「えっ?」
「いつも私の手を見てる」
言葉に詰まる。
「きれいだから…」
「なに?」
「君の手はとてもきれいだから」
「手だけ?」
そう問いかけながら、意地悪な微笑を浮かべる彼女。
僕は彼女を抱きしめる。
「好きだよ」