ゲーム1.火の軍勢と村の規模
/* Open Concept Time */
「やあやあ読者諸兄。初めましてかな?
この時間帯も、初めましてか」
「システム:物ノ名、三姉妹の次女にして先駆け、物ノ名ロボ子という。
私は君達の味方だ、安心したまえ。ついでにいうと、キスケくんの味方でもある。嫌な意味じゃあない。猿の手みたいな味方じゃ誰も幸せにならないだろう?
私は猿じゃない、皆の味方のロボ子さんさ」
「というか、特にハコなんかはキスケくんに嫌われているけど、私達は彼の敵じゃないよ。でも、誤解を解こうにも、ハコの困ったことには、基本的に出てこられないという特性がある。
そしてイミ子さんの困ったことには、顔を見せようにも顔がない」
「かくて、三姉妹最後の砦、私の出番という訳だ。
それにしても出番が遠かった。私が一番働いているのに、私だけ皆から知られていないとか、ありえないだろう?」
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「いきなり自己紹介が横道に逸れた。許してくれたまえ。何でもそうなんだが、私は兎角、要不要で言うと、不要なことを重ねたがるタチでね。よく勿体無いと怒られたものさ」
「さて、まずはシステム:物ノ名の解説から入ろうか。それが私の素性を知るのにも良いしね」
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「私達、システム:物ノ名は、ゲーム『頂天虚空の層界迷宮』を成立させている世界観の管理人。の、総元締めとでも言うのかな、そんなようなものさ」
「システム:物ノ名の、矛盾領域という名乗りも、そこに関係している」
「そもそも、ゲームゲームと気安くキスケくんが言っちゃってくれているけれども、実際の世界とゲームの世界観との矛盾の管理をしているのは私達なんだ。それゆえの、矛盾領域という名称さ」
「おっと、これ以上の私達の正体に関する話は出来ないな。ファーストステージじゃあ、まだ早い。そもそも私はおしゃべりが苦手だしね」
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「さて、と。名残惜しいが仕事にかからねばならない。私は何も雑談に出てきた訳ではないんだ。とはいうものの、嫌いじゃあないぜ、雑談。これからも出番がある限りは、ちょくちょくお話したいと思っている、よろしくね」
「どうして条件が限定されるかというと、残念なことに、私達はシステム側だから、一人を除いて世界観内には登壇出来ないんだよ。仕事のついででしか、顔を出せないんだ。ん、私の顔かい? そりゃあもうかわいいよ。ああ、君達の前に出られないのが残念なくらいだ!」
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「今日の私の仕事はね、あの、火の王がこれから作る、軍勢の規模から始めようかな。ああ、火の王とは、キスケくんが遭遇しかけて逃げた、矮族の王種のことだよ」
「おや、何でお前にそんなことが出来るんだって顔の人がいるね? いない? 気にしない気にしない、何しろ私はロボ子、世界観の抽象と具体を司るものだ、これが私の権能なのさ」
「ちなみに、イミ子がゲームの意味を決め、ハコが世界と世界観とのバランス調整をする。これが三姉妹のお仕事なのさ。ちょっと変わってる仕事だろう? でも、君達だって何かを作ったり、やりとりしたり、考えることで働いているじゃないか、それと同じさ」
「他には、っと……。うん、村の規模と、ネームドキャラの有無もあるね。
さて、村というからにはハースよりも小さいんだろう。軍勢の規模と、村の規模、それに、伝令が行って帰ってくるまでの時間や、増援のタイミング。このあたりが今回の大まかな仕事内容だ。なるべくキスケくんに有利なように、うまいこと行くといいね」
「うん? 私がそれらを決めるはずなのに、どうして他人事風なのか、気になるかい? それはね、この、コンセプトタイムって奴が、通常の時間とは異なった流れ方をする、ゲームのための時間だからさ」
「この時間が流れている間はね、私は、決めない。君達が決めるんだ」
「そうだね、村の規模は今日明日の合計訪問者数といったところかな。もともとそう多くないんだ、ちょうどいいところに落ち着くだろう。ネームドキャラの有無は、偶数だったらあり、奇数ならなし、だ」
「ついでに、女の子が好きなら、そう書き残しておいてくれると助かるな。詳しく書いてくれてもいいぜ。男の子が好きでも同じだ」
「世界観というのは、世界がどのように見えているかという意味の言葉でね。キスケくんの見ている範囲、見てしまった限りは、その通り、変えられないけれども、そうでない範囲なら、それこそ観測者次第なのさ」
「逆に、火の王の軍勢の数は、はは、ここの文字数とでもしておこう。到達までの日数はどう決めようかな。明日、一日の訪問者数の下一桁にするよ。ゼロが出たらお楽しみ、今回は敵側から奇襲攻撃でのスタートだ」
「さ、ゲームをしようじゃないか。ここに書いていない、増援のタイミングまでは気にする必要はない。二組向かってきているとだけ、お知らせしておこう」
「世界は踊るよ、どこまでも……。ファーストステージ突破、うまく行くといいね」




