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~ 白い花 ~  作者: MiYA
3/4

~ 薔薇の花 ~

夜空に 拡がる 星 の 世界 …


「何年振りだろうな 星を見るなんて … 」


司 は 微笑んで …



子供の頃 …


忙しかった 父 が 時間を作り


教えてくれた 夏の星座を眺めた …



何れ程 眺めていたのか …



司 は 眠気を感じ


部屋へと戻り


ベッドに潜ると 直ぐに眠ってしまった …




翌朝 スッキリ目覚めた 司 は …


サンスクリーンを丁寧に


露出する 顔や耳 其から 手先等にも塗った…


身支度を整えると …


ツバメ タクシーを待った …


約束の 朝 6時に タクシーに乗り込むと


運転手さんは とても感じ良く接してくれた …


司の乗る 後部座席には 直ぐに取り外し可能な 遮光パネルが貼られ


運転席 と 後部座席の 間の プラスチックの仕切りにも 遮光パネルが貼られていた…


司 の 病には 快適な 車内の中で


教育されているとは思うが…


普段なら 煩わしいと感じる


運転手との会話も 司 は 楽しんでいた …




途中 …


一軒の 茶色い煉瓦作りの 花屋に寄った…


花屋 の 女性は タクシーを見ると …


司 が 予め 電話で お願いしていた 花束を


タクシーの中から 受け取れるように 手渡してくれた …


年に一度しか 訪れない 司 を 覚えている様子で 微笑んだ …


タクシーの 運転手が 司に聞いた


「小野 様 此処の花屋 良く利用されるのですね! あの店員さんの 顔 … 凄く嬉しそうでしたから … 」


運転手 は 微笑んだ …



「ハハハッ! そうですか? 初めて あの花屋に行った時は 電話もしてなくて … 俺が入って行ったら 店員の顔色が変わって… 皆 後退って… 驚いたんでしょうね … 俺がこんな服装だし… でも … さっきの店員さんは … 初めから … あぁ言う笑顔で 避けたりしませんでしたよ … きっと 店長なんじゃないですかね? 責任者ってのは 大変でしょうね … ハハハッ」



と 応えた …


其から ツバメ タクシー は 近くの霊園へと 山道を登って行った …


霊園につくと 運転手は …


「小野様 何か有りましたら 直ぐ電話を下さい ! 失礼が無ければ お墓の 場所を教えて頂けませんか? 万が一 体調を崩されたら大変ですから … 」


そう言ってくれた …


運転手に 両親の眠る お墓の 凡その位置を教え


1時間 後に 此の場所に戻る事に決め


花束 を 持つと …


司 は ツバメタクシーを降りた …


太陽は 高くなっていたが


気分的なものなのか …


特別 体調に変わりは無かった …



霊園の道筋にある 水場で 桶と柄杓を借りて …


桶に水をいれて お墓へと向かう …


両親の 墓に近づくと 男の姿が見えた …


「あれは … ?」


司 に 気づいたのか …


男は 司 に …



「お前 … まだ生きているのか !死んだ 親父 や お袋に こんなまねさせて! 恥ずかしくないのか!!」


兄 の 哲 の声だったが …


姿が随分と違って見えた …


頬が痩けて 髪はパサパサ …


目だけが ギョロギョロと


魚の目のように目立っていた …



「いや … 何言ってるのか 解らないよ …」


司 が 応えると …


哲 は 何かのスイッチが入ったように



「お前が おかしな霊媒師とかに頼んで 俺に呪いをかけたんだろ!! 誰か使ってお前の書いた誓約書盗ませて!!一年前から 俺の枕元に毎晩のように 親父とお袋立たせて 泣かせて!! 全部 お前だろ!! 何で お前なんか生きてんだよ ~ うっ… うっ…」


哲 は 泣き崩れた …


其処には …


司 の 知っている 兄の 姿は 無かった …


「何言ってんだ 誤解だ 」 とか 「俺じゃない」とか …


幾つも 幾つも 言葉は浮かぶが …


司 は どうしても …


今 の 哲 に 其を言う事が出来ず …



「一体 何があったんだよ … 兄貴 …」



としか 聞けなかった …



哲 は 涙を払い 両親の お墓の前に どっかりと座り …



「余命 … 1年 … 肝臓癌だとよ … 則夫叔父さんに全部 持ってかれたよ … 会 社 … 亜沙美 も子供連れて実家 … 死んだら保険金入るから 今は 籍は抜かないけれど だってよ !… ふぁっはっは! 笑えるよな… 1年前から 時々 親父とお袋が枕元に立って お前を探せって凄い顔してよ … ずっと無視してた … 死んでると思ってな … で …昨日の夜だ … 寝てたら 心臓 ギュウウ~!って 親父に掴まれて 「今スグ死ヌカ!明日 墓ニクルカ ! 選ベー!!」って怒鳴られた … で … 来た … で … お前が現れた … 其の白い花 … やっぱり お前だったのか … 此処に用意できる金と … 此れ…俺の生命保険の証書 … 受け取り人 お前にしてる … たかが二千万だけど無いよりマシだろ … 亜沙美とは別のヤツだ … 置いていく … お前のだ … じゃぁなっ …」


と 昔 父が愛用していた


黒い革のバックに 保険証書を入れ ボンッ!と 司 に 投げてよこした …


哲 は トボトボ と 司の方へと向かい歩き始めた …


司 は 哲 に


「兄貴 … 墓参りしたのか … 」


と そう聞いた …


「いゃ … まぁ … でもな 来年入るしな … 司 … 俺は 真っ赤な薔薇が良いな!薔薇飾ってくれよ!頼むぜ … 」


哲 は 微笑んだ …


「まだ … 入って無いだろ … 兄貴 … 」



司 は もう一度 哲を呼び止めた …


哲 は 面倒臭 そうに 司の横に戻った …



「何か変な気分だな お前と こんなの …」



哲 は 微笑んだ …



「あぁ … 本当だ … 」



司 も 微笑んだ …



司 と 哲 は 両親 の お墓に 二人揃って 手を合わせた …


司 は 瞼 を 閉じ …


心の中で …



「今日と 言う日を ありがとう … 父さん … 母さん … 兄貴に合わせてくれた事 感謝しているよ … 」



と 告げた …


司 が 瞼を開くと …


お墓の後ろに …


半透明な 両親が立ち 司を見て 微笑んでいた…


司 が …


「あっ … 」


と 声を上げると …


両親は ス ゥ - っ と


空気に溶けるように姿を消した …


「なぁ 兄貴 !」


司は 慌てて 横に居る 哲 に 声を掛け 哲を見た


「えっ … 兄 貴 … ?」


司 は 立ち上がり 辺りを見渡したが …


哲 の 姿 は 見えなかった …



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