5/12
三日月とロック
檸檬を一口齧ったような
月が昇る夜
季節の匂いが通り過ぎた
満たされないような
気分を抱えた夜
ヘッドホンで耳を覆い隠した
何か聞きたいわけじゃない
この静寂に耐えられないだけ
あの月の隙間を埋めるような
確かなものが欲しいのさ
理想も根拠も全てを備えた
いつか見た夢のような話だけど
檸檬を一口齧ったような
月が昇る夜
白い息は消えていった
満たされないような
気分を抱えた夜
今日の記憶をゴミ箱に捨てた
ヘッドホンから流れる
星屑のような音
まだ 消えないでくれ
そう思ってしまっている僕の
心の隙間を埋める確かな
ものが欲しくて仕方ない
あの月の隙間を埋めるような
確かなものが欲しいのさ
理想も根拠も全てを備えた
いつか見た夢のような話
それでも信じたいよ
人知れず熟れた林檎のような
眩しい陽が昇る
新しい呼吸を今そっとしたんだ




