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鏡
抱きあったこと
笑ったこと
泣いたこと
全て思い出になった
聞こえないときでも
いつも響いていた
頭の中 心の中
寂しさはどこにもない
輝きは目に見えないまま
その温かさを感じている
好きだったあの娘や
嫌いだったあいつ
みんな思うがままに
何かを口ずさんでいた
思い出の中を探しても
どこにも見つからない
自分で作った額の中
それ以外は見えなくなっていた
それでいいと決め付けて
ここまで歩んできた
振り向けば見える足跡
僕のものだけなんだ
共感なんて求めない
同調なんてなおさらだ
その音を聞くたびに
僕は僕を見つめていた
抱き合ったこと
笑ったこと
泣いたこと
全て思い出になった
それは合わせ鏡のように
どこまでも続いていた




