手
実際に経験して私が抱いたもやもやを形にしました、
差し出された手。
それを払いのける。
拒絶された手は宙を掻く。
その手はやがて引っ込められる。
大丈夫?
掛けられた言葉は空虚に響いた。
手を取らず、耳を塞ぎ、瞳は何処を見つめている。
救いを求める言葉は無く、その瞳は虚空を睨みつけていた。
不透明な膜に覆われている世界。
その先を見通すことは出来ず、何もすることは出来ない。
あの子はこの世界に絶望したのだろうか?
一人で立ち向かうことを選んだのだろうか?
一寸先すらハッキリと見渡せない世界で。
差し伸ばした手が彼の心に届いていることを祈る。
この世界は理不尽で、優しくない。
それでも、温もりがないわけじゃない。
あの子はどうするのだろうか?
私にはわからない。
あの子がいつか周りを見渡せるときが来るといいと思う。
私の手を叩いた時に、手に残った痛みを思い出してくれればいいと思う、
この世界にも、手を差し伸べた人がいたということを。