敵認定されました
博士「あやつが秘密結社に入って一か月。お前達出かける準備じゃ!!」
覆面1「やった! お出かけっスね!」
覆面2「おやつは三百円まで!」
博士「馬鹿もん!! お約束はいらんわい!」
覆面1・2「へぇ~い」
怪人になった男「……今時古すぎる」
――――――
怪人男「隣町の公園にやってきたわけだけど」
博士「これから世界征服の新たなる一歩が始まるのじゃ!」
怪人男「ちゃんと悪の組織っぽいことを言っている!? ……内職ばっかりやらされていたからこういう事をする暇はないのかと思ってましたよ……」
覆面2「おいおい新入り。内職を馬鹿にすんじゃねーぞ」
覆面1「そうだぜ。あれはちゃんと俺たちのおやつ代になっているんだからな!」
覆面2「しっかり身ぃ入れてやれよ! 何なら後でコツ教えてやっからよ」
怪人男「いやいやいや。こんなところで急に得意げに先輩風吹かされても……」
博士「何を遊んでおるんじゃ! さっさとこっちに来んか!!」
怪人男「それにしても、何をやらされるんだろう」
博士「よしみんな配置についたようじゃな。では、始めるぞい!」
覆面1・2「わっはははは!」
博士「もっと声を大きく!」
覆面1・2「わぁっはははは!!」
博士「もっと胸を逸らすんじゃぁ!!」
覆面1・2「わぁっはっはっはっは!!」
博士「何をぼぉっとしておる! お前もやるんじゃ!」
怪人男「いや、その、他人の振りって言うか……えーと。ご遠慮させていただきたいんですが……」
「そこまでよ!!」
覆面1「なんだ? 今のは!」
覆面2「どっからだ!」
「ここよ!」
博士「むぅ! 何奴じゃ!?」
怪人男「なんか変なの出て来ちゃったよ。滑り台の上でなんかポーズ取ってるし。お近づきになりなくないなぁ」
ピンク色の服の女「とうっ!」
怪人男「本当にそんな掛け声かけちゃうんだ……」
ピンクの女「この世に私たちある限り、悪の栄えたためしなし! 制服戦隊スーツのモモんじゃー参上!!」
怪人男「ださっ!!」
モモんじゃー「この良さがわからないなんてまだまだお子様ね! 正義! ヒーローこそ永遠の憧れよ!!」
男「ヒーローに憧れがある方がお子様なような気がするんですが……」
モモ「シャラップ!! それにしても貴方が秘密結社の一員になってしまうとはね! 営業部の新人君!」
怪人男「まさか!? よく見たら君は経理部のマドンナ!! っていうか思いっきり指指さないで下さいよ!」
モモ「悪の組織の仲間だったなんて。ずっと私達を騙していたのね」
怪人男「いやいや、会社に勤めていた時は仲間じゃありませんでしたよ」
覆面2「おい、えらく親しそうじゃね? ずっけぇな」
覆面1「だよな。くそぅ、あいつ一番の新入りなのに目立ちやがって」
覆面2「ピンクちゃんこっち見て〜」
怪人男「いやいやいや、そんなムードも無かったよね!?」
怪人男「っていうか、顔、前とちょっと違うのに何でわかったんですか?」
モモ「前に見回り中にあなたが連れ去られるのを見ていたからよ!!」
怪人男「見てたなら助けてくださいよ!?」
博士「ふっふっふ。これが必要悪というやつじゃ!」
怪人男「なんか使い方間違ってませんか!?」
怪人男「それに私たちっていう割には一人しかいないようですけど……?」
モモ「ぐっ……い、今集まっている最中なのよ! これからよ!」
覆面1「メンバー募集中なんだったら、オレ立候補するぜ!」
覆面2「何言ってんだよ! 俺に決まってんだろ!」
博士「こらお前ら! ちゃんとおやつを二食つけてやっとるじゃろうが! 寝返りは許さんぞ!」
覆面1・2「あ」
覆面1「すんません、すんません」
覆面2「ジョーダンっすよ! 決まってんじゃないっすか博士~」
怪人男「いやいや。おやつ代自分たちで稼いでるんですよね? 内職で」
モモ「とにかく! 貴方達を倒して平和を手に入れてみせるわ!!」
怪人男「まだ何もしてないんですけど……」
博士「仕方ないのぅ。今日はここまでじゃ! お前ら引くのじゃあ!!」
覆面1・2「へぇ~い」
怪人男「……え? これで終わりなんですか!?」
こうして僕はヒーロー(ヒロイン?)に敵認定されました。