03
「熱い!お前ら熱い!あっついっよ!!!」
渋谷のとあるライブハウスに後太の叫び声が響いた。
会場も後太に応えるようにワッと歓声につつまれる。
今夜はカウントダウンライブ最終日、そしてインデーズとしては最後のライブということもあって会場は一段とにぎわいをみせていた。
ただ今は序盤が終了しMCに入ったところだ。
ファンたちはそれぞれのメンバーの名をを呼びメンバーの言葉を待った。
「はいはいはい、はい!」
後太は笑顔で会場を静めるといつものようにトップバッターで言葉をつぐんでいく。
「いやーホント熱い。渋谷熱いね。熱い熱い熱い熱い熱い。もはや熱いの言葉しかでてこないよ。熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱いー!」
「熱いばっかだな。」
歩夢は苦笑いし、後太は照れたように続ける。
「ははは、だいぶ俺も熱くなってるみたいだ。脳みそが。まあ、進とリリスよりはまだマシだけど。」
「後太くん、僕は正常だよ!リリス嬢は温暖化してるようだけど。」
進は椅子から立ち上がり前髪をキザにかきあげながら否定した。
「進!その例え凄く面白い!!!」
リリスは至極感動したのか拍手してみせた。
「でしょう?」
その反応に進は満足気に進は鼻を鳴らす。
「はい、未知さん一言お願いします。」
「うざい。」
後太は未知に話をふり、未知はそんな二人を一掃した。
「と、まぁ・・・そんな感じで俺たちは今日も熱いわけだけど。明日からまた一段と熱くなるわで。明日はとうとうメジャーデビューシングル”no fly”の発売だっ!」
後太の言葉に未知がギターを鳴らし、会場も拍手をおくった。。
「えーと、なんかね。デビュー一発目からね、なんとも不吉なタイトルだよね。」
後太は苦笑いすると歩夢を見た。
「うるせー。」
歩夢も苦笑いして言った。
そんなやりとりに会場も笑いにつつまれる。
「そうそう、今回のは曲も詩も歩夢が作ったんだよね。」
「何気に自信作だよ。もう聴いてくれた子もいると思うけど、タイトルとは意外にそんな暗い曲じゃないんだよコレ。むしろポジティブというか。」
「うん、確かに実はポジティブ。で、またこれがいい曲なんだよねー。俺嫉妬。」
後太は冗談そうに言ってみせた。
半分冗談、半分本気。実はプライドの高い後太の性格から歩夢含め、メンバー全員が心の内を知っているのだけど。
「はは。とまぁ、そんな感じでね。arkきってのコンポーザーじきじきの評価を得た”no fry”。もう聴い人もこれからの皆も・・・」
歩夢は大きく息を吸った。
「盛り上がっていこうぜ!!!」
その一言を合図に、各メンバーメンバーが音を鳴らす。
そして会場はまたより一層、熱い音つつまれるのだった。
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