瞳に刻む貴方の面影
一八五六年二月十二日の早朝、遠くの街で大量虐殺事件が起こったという報告を受けたじゃがいも。今回の事件はこの村で起こる軽い事件よりも危険そうだと思った為、テディベアを起こさずに銃だけを手に走り出した。
じゃがいも到着。事件の詳しいことは聞かずに飛び込んだ少年だったが、その街の状況を見て全てがわかった。じゃがいもが首を吊られ、皮膚を剥かれ、熱湯で溺死させられている。母親譲りの勘の良さで、じゃがいもはすぐに状況を理解した。彼らは怪物に拷問されて、食べられているのだと。じゃがいもは困った。大量の怪物を相手に、手持ちの弾だけでは怪物を皆殺しにできないかもしれない。少年は短かい足をジタバタさせながら必死に考えた。
それから二時間経過して、じゃがいもは名案を思いついた。少年は、ルンルンだった。じゃがいもは、そこらへんに転がっていた鋭いヤスリで自らの頬から首元にかけてを切りつけた。そして陽の光に当たった。そう、じゃがいもは進化を遂げ、毒じゃがいもになったのだ。じゃがいもは彼の皮膚の毒素を、妖精の粉のように軽やかに怪物に振りかけた。怪物は次々と呻き声をあげて死んでいった。じゃがいもは満面の笑みを浮かべた。これが正義なのだと。これが使命なのだと。誇りを胸に、だんだんと青みを増す冬の空を眺めていた。
虹色の鴉が一気に飛び立った。そして、じゃがいもは苦しそうに喘いだ。目、爪の間から血が流れ続けている。皮膚は少年特有のあの血色も失っていった。自分自身の毒で体が腐敗していったのである。いよいよ目は白目を剥き、「ほとんど死の国」へと意識が飛ばされた。




