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第一節:さよなら日常、こんにちは異常
――その日、“赤星きまま”は確かに、ただの日常の一部だった。
制服のプリーツスカートをなびかせ、コンビニで買ったプリンを片手に、アスファルトの歩道を闊歩する。口元には薄ら笑い。スマホの画面には、サメが悠々と泳ぐアクアリウム動画。彼女の“推し”は、冷血にして流麗、そして歯並びの悪い――そう、サメであった。
「ふふん、やっぱりハンマーヘッドは神デザイン……」
そんな独白を漏らしながら、彼女は、ちょろりと目の端に捉えた猫を追いかけ、プリンを落とし、滑り、そして。
轟音とともに、世界は唐突に幕を閉じた。
──トラックだった。
世に言う「異世界転生あるある」の典型的な触媒、トラックである。
その瞬間、彼女の頭には、ひとつだけ強烈な疑問が浮かんでいた。
(あれ? このプリン……新作だったのに……)
無念である。だが、哀れなる彼女の魂はすでに、物質界から滑脱し、未知なる運命の渦へと堕ちていた。
えっと。ちょっと違うストーリーというか…なんか書きたかった!!